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隣でぴこぴこと耳を可愛く動かす奴をあたしは横目で見遣った。そいつは獣で、半妖怪。最初見たときはなんだこいつは、なんだこの世界は、と疑問だらけだった。一年前、あたしは親友であるかごめと井戸に落ちて意味のわからない世界へと連れてこられ、半妖怪、犬夜叉と出会った。出会った頃の犬夜叉はあたし達の事など気にも止めなかったのに、今ではすっかりあたしの隣をついて歩くようになっていた。

「あーねみい」
「寝れば?」
「…もうちょっとしたらお前帰るんだろ」
「そうだけど」
「…それまで起きとく」
「……(可愛い奴め)」

眠そうに目をごしごしと擦り、耳を少し垂れさせる犬夜叉は何ともいとおしい。うん、好きだ。でも別に何か言うつもりはない。だってこいつはかごめが好きだから。そしてかごめもこいつが好き。早く付き合えよ。そう思いながらも何もない今の状況に安心している自分が情けない。はあ。なんて、犬夜叉の前でため息なんてつけないから心の中でもやもやしながら未だにぴこぴこと動く耳に思わずかぶり付いてやった。

「!!ななな何しやがんだ!!!」
「だって耳可愛いんだもん」
「おまっ…!!」
「ばかやろー」
「何でだよっおい!やめろ!」

もやもやする苛立ちにあたしは更にかぶり付く。端から見れば襲いかかっているようだ。こんなところかごめに見られたら殺される。ああ、あたし、いなくなってしまいたい。


獣に恋して


「やめろって!(理性切らすぞ!)」
「いーやー」
「(こいつ…人の気も知らねーで!)」




120705
犬夜叉にて半妖。



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