ある日突然体調が悪くなって。涙を浮かべたチョッパーに告げられた言葉は"治せない"。病名は忘れた。治らないんじゃ、別にどんな病気だろうがどうでもよかった。悪くもないのに謝るチョッパーに私は否定する事もなく、一言告げた。"誰にも言わないで"
ある寒い夜。私はチョッパーの反対を押しきって見張り番をしていた。どうせいつかは死ぬんだから、これで寿命が縮まったってそう大して変わらない。ならば、死ぬまでに大好きだった海を嫌になるほど見てやろう。
"綺麗だなあ!"
ふと、見張り台から下を見下ろすとそこには見慣れた麦わら帽子が風に少し揺られていた。そして麦わら帽子の下から現れた大好きな笑顔。ルフィはニッと笑うと私のいる見張り台へと昇る。"どうしたの"と聞くと、笑顔を崩す事なくルフィは答えた。
"なまえがいなくなるような気がした"
どうしてこの人は勘が鋭いんだろう。単純に生きてるくせに。なんか、ずるい。私はそんな事を考えながらも裏腹に笑ってみせた。"何言ってんの"私は病気の事など言うつもりはなかった。
"ずっとずっとルフィの傍にいるよ"
私の言葉に嬉しそうにルフィは笑った。
"ごめんね"
私はそんな意味も含めて、もう一度笑った。
優しい嘘に君は笑った