Merry Christmas!! 2018 | ナノ


ワイワイ賑わっていた光景も、夜が更けるとすっかり静まり返り、鼾を立てて眠る姿を見れば自然と頬が綻んだ。テーブルにうつ伏せていたり、大の字に床に寝転ぶ仲間に、そっと毛布を掛けて甲板へと足を進めると、肌を掠める冷たい風と辺り一面に広がる星空が、途轍もなく幻想的で、まるで私自身が海に漂う様に感じた。


「さっきの賑やかさが嘘の様だな」
「起きてたの」

ふと、背後から聞こえてきた声に振り返れば、先程の宴の名残であろう酒を片手にゾロが同様に空を眺めていた。

「ねえ、今日がクリスマスなのは知ってるわよね」
「当たり前だ。じゃなきゃさっきまでの宴なんてやってねえだろ」
「あら、何も無くてもよくやってる癖に」
「…ま、俺達は海賊だからな。目出度ぇ事があればすぐに宴を始めちまう野郎共の集まりだ」
「ふふ、そうね。それにしても今日は海が静かね」
「…ああ、そうだな」

耳を澄ましても、風と波の音だけ。それがとても心地良く、自然に目を瞑ってしまう。


「…なあに」

すると、不意に少し冷たい感触が頬に伝い、ゆっくりと目を開けた。目の前には先程まで背後にいたゾロが居て、私の頬を優しく撫でる。

「二人きりになれる機会なんて滅多に無いだろ」
「…確かに、こういうの久しぶりね」

少し照れ臭そうに言い放つゾロにふと、恋人らしく二人きりで過ごしたのはいつだっただろうか、と思い出してみるものの、随分と古い記憶だ。それと同時に懐かしさを覚えると思わず笑いが溢れた。

「二人きりで過ごす機会が少なくても、私はゾロの事ずっと好きよ」
「当たり前だろ。…俺も、愛してる」
「…ふふ、幸せなクリスマスね」

見つめ合い微笑むと、互いに顔を近付けてそっと口付けた。



(淡い星の光が二人を包み込む)

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