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ホワイトデー小話【六は】


---善法寺---


「…ふーん。で、そのホワイトデーの贈り物を意中の相手に届けようとして、いつも通り落とし穴に落ちたって訳ね」
「う、うん…。きっと、中もぐちゃぐちゃだね…。折角勇気を出して、気持ちを伝えたかったんだけど…」
「(…伊作に好きな人、か。やだなあ、こんな日に、失恋なんて。…私にも伊作の不運がうつったのかしら)…気持ちだけでもいいじゃない」
「…でも、出来れば、このお団子も一緒に渡したかったんだ。大好物でね、食べてる時の顔が凄く幸せそうで可愛くて…、」
「(…お団子が大好物、ね。…私と一緒なんて、何て皮肉)」
「気持ちは通じるかは分からなかったけど、お団子を渡した時の喜ぶ顔が、見たかったんだ…」
「…その事を正直に話せば、十分喜んでくれると思うわよ」
「…そうかい?」
「伊作が好きになった相手だったら、きっとあんたの気持ち、分かってくれる優しい子でしょう?」
「…そっか、そうだね!ありがとう。また勇気が出てきたよ」
「…はい、治療も終わったし頑張りなさい」
「うん」
「っそれじゃ私はこの後も委員会活動あるから…」

ぱし。

「……伊作?何、腕なんか掴んで、一体どうしたの?まさかまだ怪我して、」
「…君の大好きなお団子はこの通り、穴に落ちて見るも無残な姿になっちゃったけど、」
「…!」

「…僕は、君が、好きです」
「!!」




---食満---


「おいおい…文次郎と同じ位ひっでえ隈だぞ」
「…そりゃ三徹もさせられたら隈も出来るってのよあの馬鹿鬼会計委員長…(イライラ)」
「お、落ち着けって。只でさえ隈で目付き悪くなってるんだ、恐い顔するなよ」
「あんたに言われたくないわよ」
「おっお前な…!…ったく、(ガサゴソ)ほら、やるよ」
「?何これ、甘い匂い…」
「南蛮菓子だ。疲れた体には甘い物が良いって言うだろ?だからお前に買って来たんだよ。ほら、俺たちの予算の管理とかいつも大変だろうし日頃の感謝として…な?」
「…でもこれ、可愛い布で包まれてるし別の人に贈るつもりだったんじゃないの?」
「ああ、いやその、それは別に…店主が厚意で包んでくれただけだ。気にするな」
「…ふーん。…ねえ、これ私にだけ買って来てくれたの?」
「えっ?あ、ああまあ、会計委員の中で女一人頑張ってるから、と、特別にな…」


「…そっかあ。私だけのホワイトデーの贈り物なんだね」


「!!!!おっおおおおお前っ…!しっしっ知っ…!?」
「これでも一応浮世に花咲かすくの一ですから。ふふ、そっか〜。留三郎が私だけに、ねえ?(ニヤニヤ)」
「〜〜〜っべ、別に深い意味ねえよバーカ!!!」

ダダダダッ!

「…ふふ、馬鹿はどっちよ、ばーか」


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