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ホワイトデー小話【六い】


---立花---


「おい、良いものをやろう」
「なに、どうせまたロクでも無いんでしょ?」
「何を失礼な。私が今までにロクでもない物をあげた事があるか?」
「あるでしょうが!ある時は私が怖いの苦手なの知ってて、夜中に部屋の前に布に包んだ壊れた生首フィギュア置いて行ったり、またある時は誕生日だからやるってわざわざご丁寧に布に包んだ焙烙火矢お見舞いしたり!」
「はて、そうだったか?」
「(こいつ…!)」
「まあそれはさておき、今日は生首フィギュアでも焙烙火矢でも無い。南蛮の菓子だ。甘い物は好きだっただろう」
「!…そう、だけど」
「ほら、食べろ」
「(カサカサ)(本当に菓子だわ)…どうせまた、変なものとか入れてるんじゃ無いでしょうね…?」
「入ってる訳無いだろう。騙されたと思って食ってみろ(グッグッ)」
「もが!(む、無理矢理!…もぐもぐ)…美味しい」
「そうだろう?」
「…これ、どうしたの?」
「…別に、先日町を出歩いた際に見かけて偶には善行でもして貸しを作ってやろうと思っただけだ」
「…貸しって…、あんたねえ…」
「食べたのだから、文句はあるまい」
「たっ食べさせたのは立花でしょ!」
「言い訳無用だ」
「(こいつ…!!)…何して返せって言うのよ」
「そうだな……目を瞑れ」
「はあ?…ったく、はい(一体どんな恐ろしい事を…)」

ちゅ

「……え?」
「なんだ?物足りなかったか?ならばもう一度してやるぞ」
「いっいいいいいです!!!」




---潮江---


「どうしたの文次郎?こんな所に呼び出して」
「…あー、いや、その、……」

「……」
「……」

え?何?何も無いなら、もう行くけど…」
「!ま、待て!!用なら、あ、ある…」
「?出来れば早く済ませて欲しいんだけど…私この後留三郎のとこに行かなきゃ行けないし」
「!な、何の用でだ…?」
「さあ?文次郎と同じく渡したい物があるって言われただけだよ。で?私に渡したい物ってなに?」
「(まさか、留三郎もこいつに気が…?)…っう、受け取れ」

バッ

「…何、これ?」
「お、おにぎりだ!見たらわかるだろう!」
「…何でおにぎり?まさか、ホワイトデー…」
「そ、そうだバカタレ!ほ、ホワイトデーは手作りの飯を相手に渡す日なのだろう!?せ、仙蔵から聞いたぞ」
「…飯じゃなくて菓子、かな」
「え?か、菓子…?」
「…ふふ、まあおにぎりの方が文次郎らしくていいと思うよ。ありがとう」
「お、おう…(渡せた…!)」
「で?」
「…え?」
「仙蔵に他にも何か言われたんじゃないの?」
「!(どき)」
「ね、その手作り飯を誰に渡す日だって聞いたの?」
「そ、それは、だな…!」
「…言ってくれないんなら、もう留三郎の所行っちゃうよ?」
「!ま、待て…!(はっ)」
「ん?なーに?」
「……(こいつ、まさか知ってて…!…くそ)す、好いてる奴に、わ、渡せって…(ごにょごにょ)」

「…やっと言ってくれた」

「え?」
「私もだよ。嬉しい、ありがとう」
「!ほ、本当か…?」
「うん」
「そ、そうか…!(はっ)そ、それじゃあ留三郎の所には…」
「行かないよ。そもそも、呼び出されてないしね」
「…は!?ま、まさかお前…」
「ふふっ、大好きだよ文次郎」


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