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「鬼灯様ー!」
「何ですか、騒々しい」
「お願いします!私と恋人のフリをして下さい!」
「…は?」

ぱん!と手を合わせて頭を下げれば、案の定鬼灯様のバリトンボイスが更にバリトンボイス(最早バス)になって帰ってきた。まあ、その反応は至極正常な訳で、私は苦笑を浮かべながら事の経緯を説明した。

「…実は、両親から見合いをしろってしつこく言われてまして…」
「…なるほど。状況は理解できました」
「っじゃあ「しかし引き受けませんよ」ええっ!何でですか!?こんなに可愛い部下が頼んでるのに…!」
「ああ?」
「うっ…。(バスボイスより低い…)お願いしますう…」
「…まあ、引き受けてやらない事もありませんが…」
「っ本当ですか!?」
「但し、条件があります」
「!そ、それは一体…?(まさか、莫大な仕事を増やされるとか…ああもしかしたら、釜に…!?)」


「恋人のフリでは無く、実際の恋人としてなら、引き受けてやりましょう」


「…はい?」

何言ってるんだ、この鬼神様は。鬼灯様の言葉が理解出来ずに素っ頓狂な声を出せば、鬼灯様は相変わらずの仏頂面を私にずいっと近付けた。

「これから、永遠に私の恋人となるのであれば、ご両親に挨拶に伺いましょう。断るのであれば、どこぞの馬の骨とも知らない男と結婚でも何でもしなさい」
「……そ、それって」

つまり。
ほ、鬼灯様は私の事……!?

「さあ、どうしますか?」

ああ、因みに。私以外に恋人のフリを頼んでも無駄ですよ。私が手を回して断らせますから。


そう言われてしまえば、私に逃げ道は残されていない。


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