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「タカ丸くんは、本当に髪結いが上手だね」
「まあ、一応本職でしたからね」

さらりさらり、と軽やかな手付きでタカ丸くんは私の髪を素早く結っていく。当たり前だが、手慣れた手付きで髪を触る感覚が、私はいつしか心地良さを覚え、好きになっていた。

「はい、完成〜」
「わあ、いつも綺麗で可愛い」
「モデルが良いからね」
「ふふ、本当タカ丸くんてば、調子良いんだから。あんまり色んな女の子誑かしちゃ駄目だよ」
「(……)うん、そうだね。気をつける」
「じゃあ、私は町に買い物行ってくるね。髪結いありがとう」

完成された髪結いに酷く満足感を覚え、軽い足取りで学園から出る為校門へと向かう。


「ねえ」


すると、背後から呼びかけられて振り返れば、いつも通りのタカ丸くんの柔らかい笑みから、何処と無く悲しそうな、それでいて安らぎのような、そんな雰囲気を感じた。

「…これからも、君の髪は僕が結ってあげるからね。これからも、学園を卒業しても、君が結納する日も」
「…あはは、それは嬉しいな。タカ丸くんが私に専属の髪結い師だなんて。ありがとう、宜しくね」

思わぬタカ丸くんの言葉に驚いたが、何だか嬉しくなってふわりと笑って今度こそ校門へと向かった。部屋に残されたタカ丸くんは、私が部屋から去るのを最後まで見送った後、どっと緊張が切れた様にその場に座り込んで小さく笑いを零した。

「…愛の告白には、まだまだ遠いなあ」


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