Change the Body!! | ナノ


「あ、皆おはよー」


朝、くのたまの長屋を出て食堂へと向かえば、いつも見慣れた深緑の装束が目に入り声をかけた。一つの食卓を囲い、何やら小平太と長次に視線を集める他の四人は私の声に反応すると一斉に振り向いた。

「…何?どうしたの、今にも吹き出しそうな顔して」
「なまえ!こいつら酷いんだ!」
「えっ長次、あんた今日テンション高くない?怒ってるの?それにしちゃ怒った顔してるけど…(いやそれはそれで合ってるんだけど)それに比べて、小平太はやけに静かだね。何か変なものでも拾い食いした?」
「私を何だと思っている!」
「な、何で長次が怒るのよ…だから何で怒った顔で怒ってるの?ねえ、小平太。長次に何かあったの?」
「…もそ」
「……ん?ごめん、聞こえなかったんだけど」
「…もそもそ」
「…ちょっと小平太。からかってるの?」
「…からかって等いない」
「な、何で長次の真似なんか…ちょっとあんた達!笑うの我慢してないで説明しなさい!」

一連のやり取りを只々黙りこくって見ていた四人に目を遣れば、先程と同様に肩を震わせて笑うのを我慢していた。小平太と長次の様子がおかしい事に頭が混乱してきた私は痺れを切らして一番近くにいた留三郎の胸倉を掴み取った。

「お、落ち着けって!実はかくかくしかじかで…」
「はあ?小平太と長次が朝起きたら入れ替わってたあ?」
「そうだ!だから私は本当は小平太なんだが、今は長次だ」
「…私は小平太だ」
「な、何その変な展開…」


とりあえず、朝食を食堂のおばちゃんから受け取って留三郎を詰め寄らせると同じ食卓へと座り込み、食事を始めた。

「で、戻れる見込みあるの?」
「わからん」
「…先程気づいたからな」
「まあ何とかなるだろ!細かい事は気にするな!」
「ぷっ…くくく」
「あんた達が笑いを堪えてたのもわかるわ…くくっ」

相変わらずの長次(小平太)の滅多に見れない笑顔と、小平太(長次)の寡黙さと無表情に皆が笑っている理由に共感する私は間違っても食事を吹き出さないようにと必死に堪えて肩を震わした。


「…ふへへ」


すると突然、先程まで無表情だった小平太(長次)が笑みを浮かべて笑い声を漏らした。それを見た私達は一瞬にして黙り込み、のっそりと立ち上がる小平太(長次)に固唾を呑んだ。

「!こ、小平太が…」
「笑った…!」

いつも小平太の笑顔など見飽きたと言っていい程に見ていたが、今日の小平太(長次)の笑いはまるで違う。天真爛漫で無邪気なものとは思えない、いつもの長次が放つ不気味さがあった。

「不味いぞ…」
「おいっなまえ!いつまで食ってんだよ!早くしろ!」
「わっわかってる…!」
「あんまり急ぎすぎて喉詰まらせちゃ駄目だからね!」

文次郎に急かされ、私は朝食を急いで喉に掻き込んでいく。お残しが許されないこの食堂で、逃げられないのは困る。

「ご馳走さまでした!」
「よし、じゃあお前ら…」
「逃げるぞ!!」

パン!と手を合わせてきっちり完食すると、それを合図だと言ったように仙蔵が皆に声を掛け、留三郎が言葉を続けた瞬間、私達は一斉に食堂から飛び出した。

「ふへへへへ!」

小平太(長次)もそれに続き食堂から飛び出せば、私達の後を全力で追いかけてきていた。

「おー!面白そうだな!私も混ぜろ!いけいけどんどーん!」

「ぶはっ!」
「ひいっ…長次が、い、いけいけ…!」
「お、おいっくくく…!お前ら、これ以上笑うなっ…!」
「そ、そうだよ皆…!余計に長次を怒らせるだけだからっ…くく」
「そういう仙蔵と伊作も笑ってるじゃん!ってやばい!ちょ、長次が今までにない位に怒ってる!」
「やべっ!ちっ散れー!!」

今までに見た事の無い程に黒いオーラを纏って不気味な笑みを浮かべる小平太(長次)に本当にやばいと悟った私達は校舎から出るとそれぞれに散って行った。



六ろ同士が入れ替わったら



「見つけたぞなまえ…」
「ひいい!ちょ、長次!ごめんなさいいい!!」
「大人しく捕まれなまえ!」
「こ、小平太!お願いだから長次の姿で天真爛漫な笑顔振りまかないで…!(笑っちゃうから!)」



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