じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


そこは踏み込めない域





「あら、乱馬。どーしたのその犬」
『あっ』

広間へとやってくると、雨に濡れて女になった乱馬と何故か犬が一緒にいた。(響良牙と間違えて連れてきた犬だっ!)あたしは微かながら覚えていた犬を見るとすぐさま抱きついた。

『可愛い〜!』
「!?こら!何抱きついてんだ!」

すると乱馬が勢いよくあたしをひっぺがした。

『あ〜っ何するのっ!』
「いいからこいつには触るんじゃねーぞっ」
『…ちぇ〜(ただの犬だってのに)』
「あかねこそ何だよ、変なブタ抱えて」
「ぶき〜っ!ぶききききっ!」
「何怒ってんの?」
『(きゅんっ)〜〜っ!』

ガッ!

「!?なまえ!?」


乱馬を見るや否や鳴き出す子ブタに響良牙とわかっていながらも(二回目)あまりの必死さに勢いよくあかねごと抱きついた。

『嗚呼、可愛い…!』
「…おめー」
「す、凄く動物が好きなのね…」

そんなあたしの思わぬがっつきさを見たあかねと乱馬は少し引き気味だった。

「そんなに好きならなまえが消毒する?」
『え゛…いや〜あたし、消毒するとか苦手で…』
「消毒に苦手とかあるかよ」
「薬塗るだけよ」
『そ、それにほらっあかねにも可愛さをわかってほしいからっ』
「塗った後でもまた抱かせてもらうわよ。ほら」
『あ……』



今更、あたしは己の軽率な行動に後悔する。(どっどうしよう…いや、ここは意地でもあかねに消毒させて惚れさせないと…!)今はこの動物好きを抑えよう。ぐっとこらえてあたしは口を開いた。

『……っ可愛い…!』
「わかったから。はい、薬」
『…はい』

だが、やはりこんな可愛らしい子ブタを手放す事が出来ない。(…こうなったら)あたしはとりあえず手早く塗ろうと薬を小指で掬った。だが、まだ乱馬に向かって威嚇している響良牙をあたしは思わずぐっと自分の体に寄せる。

『ほらっ大人しくしてね〜(早く塗ってあかねにパスだ…!)』
「……(ぽっ)」
「ん?なんだ、こいつ赤くなってる」
『!まっまさか〜…(まさか…)』

薬を塗り終えると乱馬が顔を赤くした響良牙に気がつき、あたしから響良牙を奪い取り抱えあげるとお腹を覗き込んだ。

「やらしーブタだな。おっオスだ」
「あっほんとだ」
「ぶきーっ」
『…(流石にそこは踏み込めない域だ…)』

乱馬とあかねが見ている部分は流石に見れずあたしは目を背けた。(可愛らしい子ブタでも中身は響良牙だもんね…)するとあかねも見た事に響良牙はあまりの恥ずかしさで乱馬に向かって前足でばきばきと叩いた。

「いてててっ」
『(可哀想に…)ほ、ほら乱馬。嫌がってるから』
「へいへい」






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