変な気持ち
あれからあたし達はそれぞれの部屋へと帰った。
『…何なの、一体』
先程の乱馬の名ゼリフがあたしは大好きで、生で聞けた事は凄く嬉しかった。…それなのに、何故か、胸が痛くなった。
あかねに、言ったから?
もしかしたら、あたしは乱馬が…好き?
『…ないない。絶対ないよ』
そんな事を考えると、あたしは布団へと顔を埋めた。乱馬の事を好きになってしまえば、結果などわかりきっている。この漫画を読んでいたのだから。
『あかねと乱馬がくっつかなきゃ、この世界は成立しないんだから…』
そう自分にそう言い聞かすと、お風呂に入ろうとあたしは部屋を後にした。
*****
「待ちなさい、乱馬くん!」
どたたたたた!
「やだっ!!」
『観念したらー?乱馬』
「絶対やだっ!」
学校が終わる頃から大雨が降り出し、あたし達が帰る頃もずっと降っており、あたしと乱馬は仕方なく濡れて帰ってきた。つまり、お互いに変身してしまっていた。
お風呂を沸かす間あたしはジャージに着替え(男になる度ずっとジャージってのも何だかなあ…ならなきゃいいのか)、乱馬は替えの服に着替えようとしたが、どうやらかすみさんが全て洗濯してしまったらしく、変身しているんだし女物の服を着ろと追いかけられ、乱馬は裸で逃げていた。
「女の服なんか絶対着ねーぞ!」
「裸でウロウロされちゃ迷惑なのよ」
「だって!」
「「あんた居候でしょっ!!」」
「う…」
『…どんまい、乱馬』
「だからって…なんであたしの服貸さなきゃいけないのよ。なまえならともかく、乱馬にっ」
「よお〜し、これがいい」
「スカートは履かねーぞっ」
「ほら、どお?あ、なまえくんが居ちゃ着替えづらいかしら」
『あたしは女です!くん付けはやめて下さいっ』
「ああはは、冗談冗談」
『(もーこの人は…)』
あれからやっとの事で観念した乱馬を連れ、なびきさんとあかねの部屋へとやってきた。なびきさんが服を物色し選んだ服は可愛らしいオーバーオール。
「うん、似合う似合う」
『(こんな可愛い服を着こなす乱馬を好きって…うん、絶対ありえない)』
「だけどこの服、胸ちっちゃくて苦しいよ」
「(むかっ)」
「そお?ウエストどお?」
「がばがば」
『ちょっと乱馬っ』
あたしは乱馬の正直な発言にあかねがそっと竹刀を手に持ったのを見ると慌てて口を挟むが既に遅し。
「待てっ乱馬!殺してやる!」
「やめなさい、女同士で!」
「俺は男だ!」