東風先生の好きな人
そんなあかねにあたし達は反応した。
「ん?うちでなんかあったのか」
『まさか誰か怪我とか…』
「そーゆーわけじゃ…」
「じゃーゆっくりしてけばいーじゃねーか。おめー先生が好…」
ぐしゃっ
帰ろうと足を進めるあかねの後をあたしと乱馬で後を追い、乱馬が性懲りもなく無神経な言葉を言い放とうとすると、あかねが乱馬の口を手で抑えた。
「やめて。東風先生、好きな人いるんだからっ」
「!」
『!(そーだ!思い出した、今の電話って…!)』
あかねの言葉にあたしはあかねが出た電話の相手を思い出した。あかねは俯きながらも言葉を続ける。
「今の電話…これからすぐ来るって…」
「…………」
流石の乱馬も何も言えずにいた。
ガラララ…
「ごめんください」
「あ…」
その時、丁度店の戸が開き誰かが入ってきた。乱馬はその人物を目にすると驚愕した。
「こっこの人が…先生の…」
その人は杖をついた、よぼよぼのお婆ちゃん。
「しぶい…!」
「ち・が・うっ!!」
『流石にこの人は…』