面倒くさい事に巻き込まれる運命
只今の授業は体育。
皆でグラウンドに集まると男子は鉄棒、女子はソフトボールと分かれて授業が行われていた。ソフトボールでは、初めキャッチボールを行いそれから試合が始まった。だが、あたしは今それどころではない。先程の九能先輩の言葉を思い出すと頭が痛くなる。何故、あたしまで九能先輩に惚れられてしまったのかまるで謎だ。(投げ飛ばした事しかないってのに…あああ)九能先輩に惚れられると面倒くさい事は乱馬とあかねを見ていれば…いや、漫画を読んでいた中学生の頃から知っている。(この世界に来た時から面倒くさい事に巻き込まれる運命だったのだろうか…)
『…はああ』
あたしはそんな事を考えると深くため息をついた。
それと同時にあかねがホームベースに立った姿を目で追った。
「あかねーっ行くよーっ」
「いいわよー」
カキーンッ!!
*****
「ごめんね、まだ痛い?」
『わざとじゃないんだし許してあげたらー?』
「……(どーも俺、こいつとは根っから相性悪いらしいなあ)」
「も〜!三十回も謝ってるのに」
『か、数えてたの…』
どうやらあかねのバットが飛ばしたボールは乱馬の頬へと直撃してしまい、学校が終わるとあたし達はほねつぎへと向かった。その道中、あかねはひたすら乱馬に謝っていた。
「ん?」
「あらっ」
『え?』
そんなこんなでほねつぎへと着くと、見覚えのある人…否、パンダが店の前を掃いていた。
「親父、何してんだ。こんなとこで」
『(パンダでバイト?…よく受かったな…てかこんな場面あったっけ?…駄目だ。九能先輩から受けたショックが大きすぎて思い出せない)』
「あ」
その時、丁度ほねつぎの入り口の戸が開かれ、そこには東風先生がいた。
「やー乱馬くん、あかねちゃんになまえちゃん。今日からバイトに来てもらってる早乙女さんなんだけど、知り合い?」
そしてあたし達と話していた玄馬さんを紹介し、立ち話もなんだ、とほねつぎへと入った。