じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


呪泉郷ってなんだっけ





(此処、どこかで見たような…)
見渡す限り池だらけの景色にそう思いながらもこれからどうすればいいんだ、と考えていた。(助かったのかな…でも日本じゃなさそうだし…とりあえず竹の上から降りたい)





「あいやーお客さん。そんな所で何してるか?」
『…ん?』

考え事をしていると突然、下の方から声がした。見下ろしてみるとそこには帽子を被り、中国人が来ているような服を着る片言を喋る男がいた。(この喋り方どっかで…)

『あっあの…!此処、一体何処なんですか?』
「んー?お客さん、此処が何処だかわからずに来たあるか。此処はチョウチュアンシアンね」
『ちょうちゅ…え?何て?』
「お客さん見たところ日本人。日本では呪泉郷と呼ばれてるね」








『…呪泉郷……?』






何だか聞いた事のあるような名前だった。
(呪泉郷ってなんだっけ…?)

「お客さん、そんな所にいると危ないよ。その下の泉ひとつひとつには数々の悲劇的伝説があるのよ」
『…悲劇的、伝説……』

やはり、聞いた事のあるフレーズ。なんなんだ、と記憶を辿ってみるが中々思い出せない。(あーもうちょっと…胃くらいまで出かかってるのに…!)

「とにかく泉に落ちたら大変。早く降りてくるね」
『そ、そんな事言われても降りたくても降りれないんですけど…』







「待てー!くそおやじ!」







『…ん?』

すると今度は背後から女の声が聞こえた。あたしは落ちないよう、ゆっくりと顔を振り向かせると大きな影が素早く横切り、それを追いかけるように女がこちらへと迫ってきていた。

『えっ…ちょ、まさか……!』







ドンッ!







「(あ、やべ)」




女は追いかける大きな影しか目に入っていないのか、あたしに構わず横切り、勢いよくぶつかった。そのせいであたしは体勢を大きく崩し、竹から落ちていく。







そして、大きな音を立て泉へと落ちてしまった。






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