骸骨に肩を叩かれるのは初めてです
「うちに戻って風呂に入ってくる」
「遅刻しちゃうわよ」
「女のままで学校行けるかっ」
「とにかく、お湯かければ男に戻るんでしょ?」
『(…お湯……あ、あそこかっ)』
二人の会話にあたしは次の展開を思い出そうと思考を巡らすと、やってきたのは"ほねつぎ・小乃接骨院"。(ほねつぎと言えばあかねの…)あかねがお湯を貰いに行っているのを待ちながらそう思っていると、突然後ろから誰かに肩を叩かれた。反対側にいた乱馬も叩かれたのか二人で一斉に振り返ると、そこには骸骨がいた。
「!」
『っが!』
あたし達は驚き、乱馬はほねつぎの看板にしがみつき、あたしは硬直してしまっていた。
「や、失敬」
すると、骸骨を操っていたのであろう人物が笑いながら「骨格標本のベティちゃんですよ」と何故か当たり前のように骸骨の紹介をした。(びっ…びっくりした…!!見た事あるけど誰だっけ…)
「乱馬、お湯…」
「やあ、あかねちゃん」
「あ、若先生」
『!』
どうやら、骸骨(ベティちゃん)を操っていた人物とあかねは知り合いらしい。かと思いきや、一瞬あかねの頬が染まるのがわかった。その瞬間、この人物が誰なのかを思い出した。
(そうだ。この人があかねの、好きな人だ)