じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


無意識のうちに





「『ただいまー』」

「あかね、なまえちゃんっ」
「なまえちゃん、あなた乱馬くんの事忘れちゃったんだって?」


あれから、シャンプーが見つからず途方に暮れた乱馬から漸く解放されると追いかけてきていたあかねに泣き縋りつく様に乱馬を置いて一緒に家路へと急いだ。(まったく、怖い思いしたわ…!…あれ?誰に何されたんだっけ?)その道中、先程の嫌な思い出を思い返そうとすれば、徐々にスーッと薄らいでいく記憶に違和感を覚えつつ、スッキリとする感覚にまあ、いいかと歩みを進め天道家へと辿り着いた。声を揃えて玄関へと入るや否やパタパタと奥から出迎えてくれたかすみさんとなびきさんが心配そうな(なびきさんは何か楽しそう)声色であたしへと話しかける。

『?乱馬って誰ですか?』
「え、なまえ…」
「……」
「たとえばー、」

先程の事などすっかり忘れてしまっていたあたしは、初めて聞く名前に首を傾げる。するとあかねとかすみさんが目配せて心配そうな表情を浮かべた。するとなびきさんが言葉を紡ぎながらゆっくりとあたしの後ろへと指さした。

「なまえちゃんの後ろにいるのは、誰?」
『!え゛!?』

なびきさんの指の先を辿り振り返れば、そう言えば先程までいた様な、そんな記憶が微かに浮かぶ男の子が後ろに立っていた。

『なっなんであんたがあかねの家に入ってきてるの!』
「あの…居候…」
『居候はあたしよ!!』
「いや、だから俺も…居候…」

「まあ」
「本当に丸ごと忘れてる」

「ったく…!何でまた最初っからなんだよ…!」

また最初からとはどういう事なのか。訳も分からず、ただただ居候しているあかねの家へ無断で入り込む不審者だと思い込むあたしは怪訝な顔で目の前の乱馬と呼ばれた男の子を睨んでいた。すると、ふいに乱馬の後ろから黒い大きな手が視界に現れた。


がばっ!


【だーれだっ】
「わっ!」
『(いや目隠ししたらその板見えないんじゃ?)』
「っ何すんだくそおやじ!!」

突然の事ながらも、黒い大きな手の感触にすぐさまパンダになった玄馬さんだと理解した乱馬は(…あれ?何でこの人玄馬さんの事知ってるの?…ん?)勢いよくその手を引っぺがすと後ろへと振り返った。

【やーいやーい、ひっかかったー】
「やーいやーいやーい」
「!〜〜〜っ」
『(やだ、悪戯大成功して喜んでるシャンプーかわいすぎじゃないか?)』

すると、そこには玄馬さんも居たのだが、乱馬の目を隠したのは手に被り物をしたシャンプーでしてやったりと喜んでいる2人がいた。そんな2人に乱馬は言葉も出ず、わなわなと体を震わせた。

「っシャンプー!おめーなーっ!!」

だが、すぐにシャンプーの肩を掴み凄んだ乱馬にシャンプーはパッと嬉しそうな表情浮かべると、勢いよく抱きついた。

「我的愛人っ」
「!おいこらっ」
『(むかっ)』


みしっ!


その時、あたしは何故か無意識のうちに体を動かすと、勢いよく乱馬の顔を肘で地面にめり込ませた。





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