風林館高校に転校します
「学校?」
「ああ。暫くここで世話になる事にしたのでな」
翌朝。
私と乱馬は玄馬さんに呼ばれ、部屋へと向かうとそう告げられた。(学校って…もしや…!)
『それって風林館高校ですか!?』
「ああ…そうじゃが、知っているのか?」
『(あ、やば)い、いいえ!名前だけ知ってる程度です!いやほんとに名前だけ!!』
「何で動揺してんだよ」
『い、いやいや動揺なんてしてないよ!(漫画で読んだからなんて言えない…!)で、でもあたしまで良いんですか?』
「ああ。此処まで連れて来たのはわしだ。遠慮せずに行ってきなさい」
『あ、ありがとうございます!』
今更だが、今まで漫画で見ていた世界に入り込み、乱馬やあかねが通う風林館高校に通えるなんて。あたしは興奮が収まりきれないでいた。すると後ろから天道なびき、もとい、なびきさんが「おはよー」と声を掛けてきた。
「あたしやあかねと同じ学校だから」
『(ええ、勿論存じてます!)はいっ』
そう言って玄関へと向かったなびきさんの後を追うようにあかねがやってきた。
「待ってよ、おねーちゃん。一緒に…」
「なにいってんの。乱馬くんはあんたの許嫁なんだから、ちゃんと学校に連れてってやんなさいよ」
「「……」」
なびきさんはそう言うと「じゃあとでねー」とさっさと行ってしまった。残った乱馬とあかねの間にはしばしの沈黙が流れていた。(そしてその間にあたし…気まずいんですけど)
「なまえ、行きましょ」
『えっ』
「なまえは俺と行くんだよ」
するとあかねはあたしの腕を掴み立ち上がらせた。すると反対の腕を乱馬が掴む。
「変態と一緒に行かせられないわ!」
「んだと!?」
「何よ!あたしの裸二度も見たくせに!」
「あんな色気のねえもん見たくて見たんじゃねーよ!!」
「なんですって!?」
『さ!!三人で行こう!ね!?』
「…なまえがそう言うんなら」
「…しゃあねえな」
『…はあ』
此処に来て二日目だと言うのに、許嫁である二人の仲は格別に悪かった。
というのも昨日、乱馬があかねに机で叩かれ気を取り戻した後、部屋へと戻ったのだが男に戻ろうと再びお風呂へと向かうと、またあかねと鉢合わせしたらしい。(…これからあたしもこの間に入るのか…何だか先が思いやられる…)