走馬灯って本当にあるんです
『な…なに、此処…』
あたしはどうして、池に刺さっている竹の上にいるのだろうか。
(車に跳ねられただけだったよね…?)
時は数十分前に遡る。
いつものように学校が終わり、小さい頃から習っている空手を終わらせいつものようにあたしは帰っていた。違う事と言えば今日は自転車を全速力で漕いでいた事。
そして、角を曲がった先には車がいた。
気が付けばあたしは宙を舞っていた。
正確に言えば車に跳ねられ飛んでいる。(こんな事になるのなら急いで自転車を漕ぐんじゃなかった…こんな事なら…朝……!!)
全ては朝、寝坊をしたせいだ。寝坊をしたせいで夕方から始まる銀●を録画予約出来なかったんだ。今日くらい諦めれば良かったのに頑張れば間に合うと己を信じて自転車を全速力で漕いだからこんな事になったんだ。
『……くっ』
あたしは宙を舞いながら後悔した。それと同時に死を覚悟すると今までの思い出が蘇り始めた。(走馬灯って本当にあるんだ)なんて思いながら楽しかった事、悲しかった事、蘇る思い出に浸っていた。
(ってゆーか、地面まで長くないか?)
跳ねられてから結構喋った気がする。あたしは、いつまでも地面に落ちる様子のない感覚に恐る恐る目を開けた。
『…え?……え!?』
だが、そこはあたしが跳ねられた道路ではなかった。下を見ると地面ではなく、沢山の池があり、池には沢山の竹が刺さっていた。(なに此処!?)困惑するものの落ちていくあたしは池に落ちると思い、咄嗟に刺さっている竹を掴んだ。