じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


笑った顔が可愛すぎじゃない?





【か…勝ってしまた】


シャンプーが敗れた事により、会場が一気にどよめき始めてしまった。シャンプーは倒れた体をフラつかせながらも懸命に起き上がら、ゆっくり乱馬へと歩み寄ると、そっと頬に手を添えた。


ちゅ。


【あいやあっ!!】


そのままシャンプーが顔を近付けたかと思えば、乱馬の頬に口付けた。ていうか、その後乱馬にニッコリ笑ったシャンプーの顔可愛すぎじゃない?あれは反則(?)だ。



みしっ!

「女同士の話じゃ無かったの?」
「っさ、最後まで聞けって!」

ほう、と回想でのシャンプーの笑顔に、あたしが当時を再現するかの様に惚けていれば、帰路を歩きながら説明しながらの途中であかねが口を挟み、乱馬が上って歩いていたフェンスを強く蹴りつけた。そんなあかねに、何とか態勢を整えながらも乱馬が言葉を放てば、あたしも乱馬同様にあかねを宥めながら続きを話し始めた。



【ひいいいっ!】

すると突然、口付けを見た片言のお兄さんが両頬に手を当て、恐怖に慄く様な悲鳴を上げた。そして間髪入れずに乱馬へ駆け寄ると、勢い良く手を掴み取り逃げる様にその場から走り出した。それを見たあたしと玄馬さんも二人の後に続いた。

【逃げるよろし!お客さん!】
【な、なんなんだよ?】
【っあなた今、"死の接吻"受けてしまた】


【"死の接吻"?】


(死の接吻…!懐かしい!)聞き覚えのある言葉にあたしは感動した。そもそも、当時のあたしはまだらんまの世界に来て間もなかった為に、漫画で見てきた展開を身を以て知れている事に鳥肌が立ちっぱなしであった。(何この夢みたいな展開…あたし死ぬんじゃない?ってもう死んだからこの世界に来たんだっけ…あ、なんか急に悲しくなってきた…いやでもらんまの世界に来た事は何だかんだ嬉しいし…)驚きやら喜びやらが入り混じり軽く混乱が起きているあたしを他所に、片言のお兄さんは言葉を続けた。

【女傑族、大変にプライド高い。よそ者に負ける、死に勝る不名誉。死の接吻、すなわち…地獄の果てまで追いかけて殺すという、誓い的儀式なのよ】
【あーあ、乱馬が勝負なんか挑むから…】
【けっ!追いかけて来れるもんなら来やがれってんだ】
【……(それが本当に来るんだよなあ)】

すっかり冗談だと思い込んでいる乱馬をよそにあたしは呆れた様な溜息を吐けば、これから乱馬(あたしと玄馬さん含)に降り掛かるであろう災難を思い浮かべれば、再び溜息を吐いた。



――それから、中国にいる間中、シャンプーにしつこく追いかけ回されたのは言うまでも無い。





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