じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


器物破損はおやめ下さい





「お、おめー…い、いつ日本に…!」


(ああ、そうだった…)遂に、来てしまった。


最近、らんまの世界に馴染んできたのが(確証はないが)原因なのか、原作の流れが曖昧になってきていた為に、あたしはすっかり先の展開を忘れていた。と言っても、あたしがこの世界にやってきた時に居た中国でシャンプーとは一度出会っていたのだが、再会するのがこんなに早いなんて。(うーん、話の記憶が薄れてきている事については、良いのか悪いのか…)(まあ、覚えていたところで元の世界に戻れるって訳でもなさそうだし…)(ていうか、らんまの世界を楽しみすぎてて元の世界に戻ろうって気持ち忘れてた気がする…まあ、正直楽しければ、それでいいかなって思ってるんだけども)(ただ、面倒ごとに巻き込まれるのは御免だ)

「殺す」

ブンッ

「たわっ!!」
『ひっ!?ちょっと乱馬!あたっ(おっと…)俺まで巻き込むなよ!』
「俺のせいじゃねーだろっ!」
『どう考えてもあんたのせいだろ!』

乱馬の問いかけには耳もくれずに、シャンプーは容赦なく双方の手に持つ棒の先に大きな球がついた武器を勢いよく乱馬目掛けて振り下ろした。側にいた事により、あたしにまで降り掛かった攻撃を既に交わしながらも、事の元凶である乱馬へと怒鳴りつけた。

「とっとにかく!お、俺はもう…」

ビュッ!

「お前とばっかりは…」

ドカッ!

「っ付き合いきれねぇ!!」

バサッ!

「!」

間髪入れずに襲い掛かる攻撃をかわしながら言葉を発した乱馬は一瞬の隙を見て、側にあった毛布を引っ掴むと、シャンプー目掛けて投げつけた。宙を舞った毛布は目眩しの様にシャンプー襲い掛かり、シャンプーはいとも簡単に薙ぎ払ってみせたが、目の前から乱馬は姿を消した。

「乱馬…?」
「逃げたわよ」

キョロキョロと辺りを見回すシャンプーにあかねが言葉を掛ければギリ、とシャンプーは歯を食い縛り顔を歪めた。

「怒畜生!」

ガンッ!!

そして、我武者羅に武器を背後にあったロッカーに勢いよく当てると、シャンプーは自らが開けた壁の穴から出て行ってしまった。(…あの、怒る気持ちは理解しておりますが、器物破損はおやめ下さい…)


「な、な、なんなのよ、あの人…」

漸く訪れた静けさに、震え上がり肩を抱き合っていたクラスメイトが言葉を放てば、あたしとあかねは顔を見合わせて、先程シャンプーが八つ当たりで盛大にへこませたロッカーの扉を開けると、目眩しの際にロッカーへと身を潜めていた乱馬が震え上がっている姿を見遣った。

「あの人となんかあった訳?」
「…まあ、色々と」
「…かわいい娘だったわね」
「あほ!俺は命狙われてんだぞ!なあ、なまえ!」
「…そうなの?」

不意に乱馬から話を振られて、同様にあたしを見遣ったあかねに素直に頷くとあたしは口を開き、乱馬に代わって事の経緯を話し始めた。





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