じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


驚異的な破壊力





ぱち。

「……っ!」

がばっ!


「あ!気がついた」
「あかね、大丈夫?」


あれから暫くの間、あかねを控え室にて寝かせていれば、漸く目を覚ましたのか勢いよく体を起こし少しの間、ボーッと一点を見つめていた。

「あ…、あたし」


しゅっ

ぱしっ


「!Pちゃん…。どうしたの、Pちゃんまでびしょ濡れで…」

そんなあかねに、一つくしゃみを繰り出しながらも乱馬が良牙くんもとい、Pちゃんをあかねへと投げつけると、あかねはキャッチする。

「Pちゃん、あかねをくわえて泳いできたの」
「どこから飛び込んだんだか…」
「へえ…」

あかねにクラスメイトが言葉を返すとあかねは再びPちゃんを見遣るとふっと優しく微笑んだ。

「そう…ありがと、Pちゃん」
「ぶい…」

だが、事情を知るあたしは、どこかきまりの悪い顔で視線を落とすPちゃんに少しだけ同情してしまう。(そりゃあね、本当は良牙くんの姿のまま格好良く助けようとしたら子ブタになっちゃったらね。同情もしたくなるよね)

「…良牙にも礼言っとけよ。おめー助けようとして飛び込んだんだからな」

すると、そんなあたしの気持ちを代弁するかの様に言葉を放った乱馬は今しがたまでロッカーの上に置いた身をひょいと地面へと下ろすと再びくしゃみを繰り出した。

「え…」
『そうそう。まあ、ちょっと急用が入ったとか何だで帰っちゃったんだけど…』
「…うん」

続けて放ったあたしの言葉も含めてあかねは漸く良牙くんも助けてくれた事を理解すると、あたしは報われた良牙くんに心の内でホッと安堵を漏らした。


『ま、兎にも角にも、スケート勝負は乱馬達の勝ちだし、Pちゃんはなんとか戻ってきた事だし、これにて一件落着だね!(…あれ、なんか忘れてる様な)』

今回はこれでひと段落した筈だと締めくくる様な言葉を放ったものの、何故だかモヤモヤとしたものが心に生まれた。だが、あたしとしては早くお湯をかぶって女に戻りたい一心である。



みし…



「『……ん?』」



めきめきっ…



その時、不意にあたしと乱馬の背後から何かが、否、壁が音を立てている様な音が聞こえてきて皆の視線が一点に集まった。(…え、壁にヒビが…?)


めこっ!!


「んな!?」
『!?』

その瞬間、壁が勢いよくめり込んだかと思えば、ガラガラと崩れ去るのを目の当たりにすると、あたし達は一斉に目を丸くさせた。(…壁ってこんな歪曲するんだ…ってそうじゃなくて)(…この驚異的な破壊力って、まさか…!)一瞬、能天気な言葉が浮かんだがすぐに取り払うと、あたし達は壁の向こうに現れた見目可愛らしい人物に更に目を奪われた。



「乱馬、殺す」



「!しゃ、珊璞(シャンプー)…!」





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