じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


それが普通





「覚悟しやがれ、オカマ野郎!!」
「なんだとこのブタ野郎!!」


元より、試合の本来の目的、シャルロット杯に決着が着いた事により、会場から出ようと人が少しずつ立ち上がる中、未だ良牙くんと乱馬の闘いは続いていた。

『まーだやってるよ、あの二人。流石に試合が終わった以上、学園の迷惑になるから辞めさせないと。あかね、行ってくるから此処で待ってて』
「っあたしも行くわ」
『えっちょっ、あかね!もし闘いに巻き込まれてあかねが水の中に入っちゃったらまた体調が…あ、あかねってばっ』

あたしがふう、を息をついて二人を止めに行くと言えばあかねも息巻いてズカズカとリンクの中へと歩みを進めた。あたしはそれを必死で止めるが、あかねは聞く耳持たず、既にリンクの中央付近まで向かっていた。(もーっ乱馬も良牙くんもあかねも!みんな頑固なんだから…!)
あたしがあかねを追いかければ、二人の側までやって来ていたあかねは、水に落ちない様にうまく氷の上でバランスを取りながら力を込めて浮かんでいた氷を一気に持ち上げた。(良牙くんも乱馬もさっき持ってたけど、なんで皆そんな氷持ち上げれるの?それが普通なの?)そしてそれをそのまま、闘いを続ける二人へと思い切り投げつけた。氷は見事二人に当たると、二人は涙を浮かべながらあかねを見遣った。

「っえーかげんにしなさい!」
『あ…あかね、落ちない様に気を付けて。二人もこれ以上喧嘩するなら、あたしだって怒るよ』

「あ、あかねさん…なまえさん…」
「な、なんだよ!」
「あんたらどーしてそう仲悪いの!」
『ちょっとくらい仲良くしたら?』

「やかましい!おめーらは引っ込んでろ!」

「な…」
『何ですって…』

仲裁に入るあたしとあかねをうるさい、と言ったように返した乱馬にあたし達は苛立ちを覚えるが、ここはぐっとこらえよう、と二人で顔を見合わせて再び乱馬と良牙くんへと視線を向けた。

「と、とにかく訳を言いなさいっ。(どうせなまえの取り合いだろうけど)」
『そうよ、喧嘩の原因が何か言いなさい!(どうせあかねの取り合いだろうけど)』


「そっ…」

ぶぎゅっ!

「それはっ…」


あたし達の言葉に乱馬が答えようとするや否や、良牙くんが乱馬の頭を手で抑えつけ言葉を遮った。

「この勝負の決着がついてから、ゆっくりお話しますっ!」


ばこっ!


そしてそのまま乱馬を掴み上げると、勢いよく殴り飛ばした。

「!ちょっと…」
『辞めなさいってば!』

まるであたし達の言葉を聞き入れない二人に、あかねは再び氷を持ち上げた。

「やめろって…言ってんのよ!」
「たわっ!!」

だが、今度は乱馬はそれをヒラリと交わす。

「っスキあり!」

その時、避ける事に気を向けた乱馬に瞬時に良牙くんが蹴りを食らわした。



ビタッ!



「!あっあっ」
『!あかねっ』

蹴りを食らった乱馬は無残にも飛ばされて、あかねのいる氷の上へと倒れ込んでしまう。その反動により、グラグラと氷が揺れあかねは必死にバランスを取ろうとしていた。



「とどめ!」



だが、良牙くんにはそんなあかねが見えていない様で、倒れ込んでいる乱馬へと飛び上がると、再び蹴りを喰らわそうと降りかかった。


ばっ

ドカッ!


だが、間一髪のところで乱馬が避けてしまい、良牙くんは乱馬がいた氷を直接蹴って砕き割った。



「!」





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