じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


再びメリーゴーランド





つるっ
べしゃっ!


『…まさか良牙くん、乱馬以上に上達してない…?』
「みたいね…」


乱馬に無理矢理腕を掴まれている良牙くんは、乱馬の滑るスピードについていけずに、盛大に転んでしまう。ワアワア、と言い合う二人にあたしとあかねは大丈夫なんだろうか、と不安を募らせた。

そんな中、白鳥あずさが二人の元へとやって来れば、「よいしょですわ」と良牙くんの足を肩車するかのように両肩へ担いだ。そして、続け様に白鳥あずさの足を三千院帝が手に掴む。(…まさか、あのフォームは)


【こっ、これは…】


あたしが見覚えのある形に、嫌な予感を覚えると会場内もざわめき始める。そして、案の定三千院帝は手に力を込めて、一気に白鳥あずさ、以下繋がっていた二人を持ち上げ豪快に回し始めた。

【あ〜〜〜っと、これは〜〜〜っ!!再びカップル崩しの大技!"別れのメリーゴーランド"だ〜〜〜っ!!】

やや興奮気味に叫ぶ実況者にあたしはやはり、と冷や汗を垂らした。先程、身を以て体験をした"別れのメリーゴーランド"。あの技によって乱馬の身体は致命的なものとなった。

『あんなの二回も食らったら、今度こそ死んじゃう…!』
「…!」



「さあどうだ!彼女の手を離せば、回転を止めてやる」



(…ちょっと待てよ。あの二人にならこの大技は通用しないかも)三千院帝の言葉に、あたしは募っていた不安を吹き飛ばす。そして、二人を見遣れば案の定ギャアギャアと騒ぎ立てているのが目に入った。良牙くんが必死に乱馬に掴まれた腕を振り解こうとしている。それを、乱馬が必死に離させまいと抵抗している。(…これなら何とかさっきみたいな大惨事は起きなさそうだけど…)そんな二人に大事に至らなさそうだと安堵するも、ペアとしてはどうだろうか、とまた別の不安が過った。


「っ痛いだろーがっ!!」


くらっしゅ!


その時、腕に噛み付いてまでも抵抗する乱馬を良牙くんが殴り飛ばした。すると再び会場が一斉に湧き上がった。

「おお!恐るべし"別れのメリーゴーランド"!!」
「また新たに信じ合うカップルに破局をもたらしたー!!」
「最初っっから不仲に見えたがなあ」
『(間違いない)』



「ふっ、"別れのメリーゴーランド"の仕上げはこれからだっ!!」
「え」

すると、突然三千院帝は白鳥あずさから手を離すと何処からともなく櫛を取り出して髪を整えた。その間、手を離され宙を舞っていた白鳥あずさは担いでいた良牙くんをリンクに顔から着地させる様に叩きつけた。(うわあ…悲惨…ところで、乱馬は…!)顔からリンクに叩きつけられ目も当てられなくなった良牙くんはさて置き、殴り飛ばされた乱馬はと言うと。


「信じていた男に裏切られて、なんて可哀想な人なんだ…。でも、安心おし。今日から僕が君の恋人だよ」

みしっ

「なに寝言言ってやがる」

三千院帝に見事にキャッチされると、甘い言葉を吐かれていたが、すぐさま思い切り拳骨を食らわして三千院帝の手からすり抜けていた。(もし、あたしがあの時手を離されていたら、三千院帝に…ああ、ゾッとする)





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