じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


心機一転





【さあ、ペアが入れ替わって心機一転!試合再開!!】

会場にある全室に響き渡る実況アナウンスが、再び試合再開を知らせていた。あたしは急いでリンクへと向かった。



『あかね!』

「!なまえ、お湯はあったの?」
『いや、それが殆どの校舎閉まってて…って何で衣装着てるの!?』

やはり、あかねは乱馬と良牙くんが心配だった様で、リンクの側まで試合を見に来ていた。そして何故か予備に持っていたのであろう衣装を着ている。

「乱馬、立ってるのでやっとなんでしょう?なまえがもしお湯が無くて戻れなかったら、あたしが出るしか無いと思って」
『で、でも体調が…!』
「よく寝たから大分良くなったわよ。…この試合に負けたら、Pちゃんが、あの子に取られちゃう」
『あかね…』

あかねの強い意志に、思わずあたしは怯んでしまう。顔色を見る限り、どうやら本当に体調は良くなっているらしく、乱馬がこのまま試合に出るよりかは良いのかも知れない。



「おや…?天道あかねくん?」



と、その時。二度と聞きたくないと思える声が、あたしとあかねの耳に入ってきた。そして、そいつはあかねを見つけるや否や、リンクの中央付近からあかねの目の前へ颯爽と滑り寄ってきた。

「もう体調は大丈夫なのかい?」
「さ、三千院帝…」
「君が体調不良だと聞いてとても心配していたよ。その上、君にキスをしてあげられなかった」
「あんた、何言ってんのよ」
「そうだ。体調が治ったのなら、試合が終わった後、デートしてあげる」
「ひいいいっ」



みしっ…



三千院帝はあかねの側へやってきたかと思えば、間髪入れずにあかねへと猛アプローチをし始めた。そして、ふいに手の甲へキスを浴びせるのが目に入ると、あたしはその気持ち悪い顔を殴り飛ばしてやろうと身体を前に出した時に、三千院帝の頭上へ乱馬が見事に落ちてきた。(いや…良牙くんに投げ飛ばされたのか)

「!きみ、大丈夫?」

よく見れば、乱馬の方が大ダメージを食らってしまっており今の衝撃で気絶してしまっていた。そんな乱馬をあたしが心配して声を掛けようとした時、軽傷で済んだ三千院帝が頭上に降り注いだ物体を見るや否や、ずり落ちてくる乱馬を両手でそっと受け止める。

「乱馬、休んでなさいっ。代わりにあたしが…」
「あかねさんが?…乱馬なんかと組めば迷惑千万極まりない。(そして今、奥にいる男は恐らくなまえさん…俺のせいだが、その姿では最早俺とペアは組めない…)さ、あかねさん!俺とペアを…」
「うんっ」

『あ、あかねっ、あんまり無茶しちゃダメだからね!』
「わかってるわよ」
『…(心配だなあ…)』

段々と話が流れていく中、あたしは良牙くんの手に引かれてリンクへ入っていくあかねへと、無理しないようにと念を押した。





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