じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


別れのメリーゴーランド





「まあ…居候ともなれば、多少なりとも信頼や絆があると言いたいのだろうが…」
『(おお、三千院帝が上手いこと解釈している)』

三千院帝は乱馬の発言に、自分なりの解釈を交え、面白い、と鼻で笑った。


「我々、格闘スケート黄金ペア…もう一つの通り名は…氷上の逆仲人!」


そして、白鳥あずさを背中に掴まらせるや否やこちらへと滑り出してきた。(ぎゃ、逆仲人…?)

【そうです!三千院帝、白鳥あずさペアの究極の得意技は、カップル崩し!!】

「今まで我々の手にかかって…仲間割れしなかったペアはありませんのっ」

私の心の中を読んだかの様に、解説した実況者になるほど、と理解する。(カップルとか全くそんなんじゃないけど!確かにペアの心が合わなければ、こんl勝負は確実に勝てないって訳ね)そんな事を考えながら、あたしと乱馬は襲いくる黄金ペアに構えた。

「しゃらくせえ!いくぞ、なまえ!」
『うん!(ただの居候仲間って言われた事が未だになんか腹たつけど、今は勝つ事だけ考えなくちゃね)』

あたしは乱馬に手を引かれ、黄金ペアと同様に滑り出した。そして、勢いよく乱馬が二人に飛び蹴りを喰らわそうと足を出した瞬間、白鳥あずさは飛び上がり、三千院帝はしゃがみ込みそれを避ける。(やっぱり、リンクの上では黄金ペアが有利…)

『っあ!』

くそ、と悔しがる間もなく、乱馬の飛び出した足がしゃがみ込んで避けた三千院帝に掴まれてしまう。それと同時に飛び上がった白鳥あずさまでもが乱馬へと抱きつく様に降りかかる。

「んー」
「え!?」
『!ちょ、何やってんのよ!!』

すると、突然白鳥あずさが乱馬の鼻にちゅ、とキスを落とす。それを見たあたしは何故か無性に腹が立ち、ズカズカと乱馬達へ歩み寄った。(べ、別にあたしが怒ってるんじゃなくて、あくまであかねの許嫁を守る為に!)そんな自分の感情に誰に振りまく事もない言い訳を心の中で並べ始める。

「えっえっ」
「スキありですわ」
『!』

いきなり鼻にキスされた乱馬がわかりやすい程に動揺を見せれば、白鳥あずさはニッコリと笑って乱馬の股の間に入り込むように滑り、そのまま両足首を掴む。掴まれた事によりグラ、と体制を崩した乱馬は勢いよくリンクへと倒れこみそうになる。(あっ危ない…!)

はしっ!

それを見るや否や、あたしは飛び込む様に乱馬の両手を掴み、何とか倒れ込むのを塞いだ。だが、一息つく間もなく、今度は白鳥あずさの両足首を三千院帝が掴んだかと思えば、三人同時に持ち上げられてしまった。(なっ何て怪力…!)(ていうか、三千院帝って性格直せばそれなりにモテそうなのになー、勿体ない)(って今そんな事考えてる場合じゃなかった)

【こっこれは…!っ出ましたーっ!!】

実況者の興奮した声に何だ、と心がざわめき始めると、徐々に体がぐるぐると回り始める。(!ま、まさかこれって…!)その時、ふと漫画で見ていた場面を思い出す。(黄金ペアの最強奥義!…って勝手に呼んでいたあの…)


【恐怖のカップル崩し!"別れのメリーゴーランド"!】


『(やっぱりー!ていうか、その奥義をまさか食らう日が来るなんて…夢であってほしかった…!)』





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