乱馬VS三千院帝
乱馬と三千院帝は睨み合い、暫く動かずにいた。だが、突如乱馬は高く飛び上がると三千院帝へと襲い掛かった。
「何百倍にして返してやるぜ!っだー!!」
ドゴーンッ!!
「お…おい」
「頭から突っ込んどる」
乱馬は三千院帝目掛け拳を振り下ろしたが三千院帝はそれを軽く避け乱馬は勢いよくスケートリンクに頭から突っ込んだ。
「ふっ…愚かな」
三千院帝はそんな乱馬を鼻で笑った。
ぬっ
「!」
その時、三千院帝の後ろに突如乱馬の顔が現れた。殺気を感じたのか三千院帝が素早く振り返ると乱馬は容赦なく攻撃を繰り出した。
「うわっ!!」
間一髪、三千院帝がそれを避けると上手く滑れない乱馬は避けられた拍子に転んでしまい周りで見ていた百人組手の男達へと勢いよく突っ込んでいった。だが、怒りに満ち溢れている乱馬は最早痛みなど感じていないのかふらつきながらも立ち上がった。ふと、三千院帝を見れば乱馬の拳が微かに当たっていたようで服が少し破れていた。
「ふっ…素人相手にこんな技は使いたくなかったが…」
それを見た三千院帝も乱馬の実力を少しは認めたのか、顔つきを変え片足と両手を上げ構えた。
「おおっ!三千院帝のあの構えは!」
「必殺技、死霊の盆踊り!!」
「『死霊の盆踊り…?』」
どうやら三千院帝の構えは死霊の盆踊りという必殺技らしい。男達の言葉を聞いたあたしとあかねは思わず声をハモらせた。
バッ!!
その時、乱馬はそんな構えにも動じず一気に三千院帝へと突っ込んでいった。
ドカッ!ドカッ!バキッ!
三千院帝は片足立ちのまま物凄い速さで回り始めた。その中へと飛び込んだ乱馬は何発もの攻撃を食らう。
「未だかつてあのスピンから逃れた人間はいない!」
「三千院の成すがままに踊るように悶絶してゆく…まさに死霊の盆踊り!」
それを見ていた男達は興奮して声を上げていた。
しゅぽーんっ!!
その時、三千院帝のスピンの中から乱馬が飛び出してくるとそのままリンクへ一直線に顔面を打ち付けた。
「き…決まった…!」
戦いの一部始終を見ていた男達は戦いが終わるとホッと胸を撫で下ろした。そんな中、あたしとあかねは乱馬の元へと向かった。そして顔面を打ち付けたままの乱馬へ口を開く。
『乱馬ー立てるー?』
「……」
あたしの言葉に乱馬は無言であったが何とか立ち上がろうとリンクに腕を付き勢いよく飛び跳ねた。だが、やはりスケートが下手なだけあり上手く着地出来ず再びリンクに顔面を打ち付けた。(こんなんで上達するんだろうか)あたしはそんな乱馬に不安が募る。そこへ白鳥あずさがやってくるとゆっくりと口を開いた。
「引き分けですわね」
『何言ってるの』
「乱馬の勝ちよ」
「!?……」
あたしとあかねの言葉に白鳥あずさは驚くと急いで三千院帝の元へと向かった。
「お、おい白鳥くん…」
「三千院が勝ったんじゃ…」
男達も訳がわからず傍に寄った白鳥あずさに尋ねると白鳥あずさは「あら」と小さく声を漏らした。
「気絶してますわ」
「!な、なんと…」
「…えいっ落書きしちゃえっ」
「俺も何か書こっ」
「俺も俺もっ」
「『……』」
白鳥あずさと男達は三千院帝が気絶しているのを確認すると一斉に落書きをし始めた。そんな光景を見たあたしとあかねは呆れて顔を見合わせると倒れ込んでいた乱馬を引き摺り帰る事にした。