じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


百人組手のお時間です





「ほら、乱馬」
『ちょっともっとちゃんと立ってっ』
「まっ待って!」

あれから数日に渡り、乱馬と良牙くんの猛特訓が始まった。(のは良いんだけど…今日は良牙くん、トイレに行ったっきり戻ってこないんだよね…まさかこんな所で方向音痴に…?)


「もー。滑れないくせにスケートの勝負しようなんてよく言えたもんねー」
「しょーがねーだろっ」
「とにかくしゃんとしなさいよ、男でしょ」
「い、今は女だも〜ん」
『便利な体質で良かったねえ』

何故か乱馬は自ら女に変身して、あたしとあかねにスケートを教えてもらっていた。

「う、うるせえっ。お、お、男が滑れないなんて、かっカッコ悪くて…」
『あのねーそんなへっぴり腰じゃ』
「じゅーぶんカッコ悪いわよ、女でも」
良牙くんが戻ってこない今、あたしとあかねは乱馬一人を二人で手を引き特訓していた。



ドンッ!



「きゃっ!」
『わわっ!』

とその時、背後から何者かに強く押され、あたしとあかねは転んでしまった。何だ、と振り向けばそこには今度のあかねの対戦相手、白鳥あずさがいた。

「あーら、ごめんあそばせ」
「ちょっと!わざとやったでしょ!」
『何であたしまで!』
「それどころじゃありませんわよ。お連れの方…」


「『ん?』」


あたしとあかねが白鳥あずさに怒っていると、白鳥あずさがあたし達の背後を見て口を開いた。あたしとあかねはそんな白鳥あずさの言葉に後ろを振り返れば、そこには先程まで特訓していた乱馬があたし達が手を離した事により、(当然滑れずに)後ろへと猛スピードで下がっていた。

「わあああああん!!」
「乱馬!」
『わーごめーん!』

あたしとあかねはそんな乱馬を見ると白鳥あずさに構っている暇ではない、と急いで乱馬の元へと滑り向かった。



フワッ



すると突然、乱馬の体が浮いた。いや、誰かに後ろから抱き上げられた。

「君、大丈夫?」
「!さ、三千院帝…」
「え…?会った事あったっけ?」

乱馬が後ろへ振り向くと抱き上げたのは三千院帝だった。何とか怪我なく済んだようであたしはホッと胸を撫で下ろすが三千院帝が女たらしという事を思い出すと何だか嫌な予感がした。

「おかしいな、君みたいな可愛い子、一度会ったら忘れるはずないんだけど」

そんな予感を抱いた矢先に三千院帝は昨日のあかね同様、乱馬の顎に手を添えるとゆっくりと顔を近付けた。(あ…!もしやこれは!)


ばきっ!


だが、それを白鳥あずさの飛び蹴りによって制された。(…なんだ、未遂だったっけ)あたしの記憶の中では確か本当にキスをした覚えがあったのだが、勘違いだったらしい。(本当だったら面白かったのに)(こんな事乱馬に言ったら殴られそう)

「ナンパは後からゆっくりあそばせ。百人組手のお時間ですわよ」
「百人組手…?」
『わ、あっあかね!』
「どーしたの…!」

三千院帝に飛び蹴りを食らわせ、華麗に着地した白鳥あずさの言葉にあかねがなんだ、と様子を見ているとふいに黄金ペアの周りに防具を着た男達が集まり始めた。






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