この子はシャルロット
「乱馬!!」
「え゛!!」
あかねの後をついていけば、スケート場を出て通り道にあるらーめん屋へとやってきた。そして店の扉を開けると同時に乱馬の名前を叫んだ。(よくここだってわかったな…流石許嫁)乱馬は突然現れたあかねに物凄く驚いて固まっていた。そんな乱馬に容赦なくあかねはズカズカと歩み寄る。
「な…なんだよっやるってのか?……!」
そんなあかねに乱馬が構えた時、あかねは再び泣き出した。それを見た乱馬も再び固まった。
「なっ何も泣く事ねーだろ!だ、だから別に色気がなくたって俺は…!」
「Pちゃん探して!!」
「別にかまわ………なに?」
どうやら、乱馬はあかねが泣き出したのは何故か自分のせいだと思い込み必死に弁解をしていたがあかねの放たれた言葉に自分のせいでない事がわかり顔を赤らめた。
『乱馬、一体何の話してるの』
「…別に」
*****
「Pちゃん…ちょっと目を離した隙にスケートリンクでいなくなっちゃったのよ」
『(あかねが忘れて置いてきた事は内緒にしとこ…)』
「拐われたのよっ!見てた人がいるんだからっ」
「ふーん……ん?」
先程の事を乱馬に話すと、乱馬はふとあたし達の背後へと視線を移した。
『?なに?』
「…拐われたブタの特徴は?」
「何とぼけてんのよっ」
ふざけた様な乱馬の言葉にあかねが怒ると、乱馬はあたし達の背後に指をさした。
「あそこにいるあれはなんだ?」
「!Pちゃん!」
乱馬が指をさした背後へ振り返れば、気を失っているであろう良牙くんが女の子に抱かれていた。
『…あ!!』
「なんだよ、なまえ」
『う、ううん!別に!』
そしてあたしは良牙くんを拐った女の子を見ると更に声を上げた。(あ、あの子って…!!そうだ、白鳥あずさ!)あたしは女の子、白鳥あずさを見ると少し原作を思い出した。確か、スケートが上手くて三千院帝という男とペアを組んでいる。(なっ懐かしい…)あたしがそんな事を考えているとあかねがPちゃんの元へと近付いていった。
「Pちゃん!」
「!いや〜ん、何ですのあなた。この子はシャルロットですわ」
『シャルロット!(そう言えばそんな名前付けられてたっけ…)』
するとあかねに気付いた白鳥あずさが良牙くんをシャルロットと呼び、あたしは思わず懐かしさとネーミングセンスに笑いそうになるのをこらえた。
「あたしのPちゃんよ!」
「シャルロットったらシャルロットですわ!」
あかねは良牙くんを勝手にシャルロットと名付けられている事に怒り白鳥あずさと言い合いを始めた。
「あっ」
その時、白鳥あずさの背後からにゅっと手が伸び良牙くんが掴み取られてしまった。