じゃじゃ馬にさせないで! | ナノ


可哀想な乱馬





「だっ…誰が部屋片付けると思ってんの…」

寝る直前に闇討ちに会い、見るも無惨な部屋にされたあかねは怒りが込み上がっていた。(…これは、嫌な予感)そんなあかねにあたしは、苦笑いを浮かべるとそっとドアの方へと歩みを進めた。

『…じゃ、あかねちゃんおやすみなさ…』
「なまえ、手伝ってくれるわよね?」
『あははは当たり前じゃない〜あかねちゃんっ』

思わず逃げようとしたあたしの首根っこを掴むと、あかねはにこっと笑った。(め、目が笑ってないんですけど)あたしは顔を引き吊らせながら笑うと、そそくさと部屋に落ちた黒バラを拾い始めた。(くそう…貴重な睡眠時間が…)何とも迷惑極まりない小太刀の行動にあたしまでもが怒りを込み上がらせた。

『黒バラの小太刀…!』
「この礼は試合でさせてもらうわよ…!」




くわーんっ!!


『…ん?』

片付けもほぼ終わった頃、突然部屋の真上から金属がぶつかったような音が聞こえてきた。

『…なに?』
「まさかまだ小太刀が…?」

あたし達は顔を見合わせるとすぐさま屋根へと登る。するとそこには、何故か乱馬に覆い被さる小太刀がいた。(…何があった?)
小太刀が泣き叫ぶ乱馬を押さえ付け口付けようとしていると、あたしの隣で同じように二人を見ていたあかねがわなわなと震えだし、ズンズンと二人へと歩み寄っていった。



「人の部屋の真上で何やっとるかー!!」



そして辿り着くと同時に、勢いよく小太刀を蹴り飛ばし乱馬は小太刀から開放された。蹴り飛ばされた小太刀は体勢を整え着地すると「またお会いしましょう」と今度こそ去っていった。

「全く……」

あかねはそんな小太刀に息をつくと、未だ寝転がる乱馬を見たかと思えば、側にいたPちゃんを抱き抱えた。

「恋路の邪魔して悪かったわね。おやすみ」

そして言葉を吐き捨てると部屋へと帰っていった。



『ね、何で起きないの?』

あかねが去った後、あたしはそっと乱馬の側にしゃがみこみ口を開いた。

「し、痺れて動けねーんだよっ」
『あ。(そう言えばそんな事もあった)…もーしょうがないなあ』

あたしは小太刀に惚れられ、あかねに誤解された上に体が痺れて動けない可哀想な乱馬に息をつく。(…けど、元はと言えば、乱馬が厄介ごとに首を突っ込んだせいだよね)助けてあげようか、と考えていた矢先に事の発端は乱馬だと結論が出て、己の羽織りをそっと乱馬へとかぶせるだけにした。

『寒そうだし、貸してあげる』
「そうじゃなくてなあ…部屋まで連れてけよ」
『か弱いから無理。じゃあおやすみ』
「…(朝稽古一緒にしてる奴のどこがか弱いんだ)」






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