05
リュウさんと雪男との任務から解放され、休憩するべく近くにあった階段に腰掛けるとポケットにしまっていた携帯はメールが届いた事を伝えた。
“任務が終わり次第私に付き合え”
差出人はシュラであり、添付された地図に頼りながら歩くと居酒屋に到着した。まあなんとなく予想はついていた。きっとここが以前言っていた居酒屋なのだろう。シュラのいる席を探しているとすでに出来上がった彼女を見つけた。

「ぷは〜っ!おねーさん、ビールおかわり〜。それとネギまと皮、明太じゃがバターも追加ね」
「お客さんいい飲みっぷりだねえ!はいこれサービス!」
「うひぃおねーさん最っ高!」
「シュラさんまだ任務終わってないですよ!」
「んなこと言うなー、休憩だよ、休憩」
「え、まだ終わってないのに私のこと呼んだんですか?」
「あ、なまえ早かったにゃ〜。ホラお前も飲め飲め」
「いや、私はそこまでお酒強くないので遠慮しておきます…」

この期間中、シュラとペアで仕事をしている祓魔師の男性は溜息を吐いた。酒が入ると自由人になるシュラとペアを組まされてしまって大変そうだがあと数日で終わる任務だ、もう少しだから頑張って耐えてほしい。やり遂げた後にはきっと何かいいことが起きますよ…多分。

「勤務中に飲酒とは看過出来んな。霧隠シュラ」
「ミスター アーサー・オーギュスト・エンジェル…!聖騎士が何故こんな所で…」
「今回の祭りの主役を頼まれてな。おや、なまえもいるのか」
「どうも」

年男だぁ!年男が来てるぞ〜!手を振ってくださっているわ!等の周りにいた人々が騒ぎ始めるとアーサーは満更でもない様子で豪快に笑いながら手を振っている。途中アーサーは私と目が合うとファンサービスの一環としてウインクを飛ばして来た。

「ったく、何やってんだよ。ハゲ」
「あはは…あ、すいません電話出ますね」
「おー」

電話の相手は雪男だった。内容を簡単に言うとリュウさんからの伝言で、任務だから今すぐ来い、との事。雪男もリュウさんに呼び出されたそうだ。指定された駅に向かうべく、来てすぐで申し訳ないがシュラに仕事が入ったので失礼する旨を伝えると分かった、と頷いた。

「にしてもお前、あいつにだいぶ気に入られたみたいだにゃ〜」
「そんなんじゃないですよ…任務ですから」
「ふーん…」


+


電車を降りて改札を出ると既に雪男は到着しており、リュウさんとその部下二人と共に改札の向こうで私を待っていた。

「お待たせしました」
「フン…二時間ほど前から南町で幽霊電車の目撃情報だ。行くぞ」
「…そういえば。シュラさんからリュウさんの一族はこの祭りと縁が深いと聞いたのですが…」
「俺の先祖は絵本に出てくる伝説の祓魔師なのさ」
「えっ」
「どうした。サインなら後にしてくれ?」

階段を降りながら雪男の問いに答えるリュウさんの言葉に耳を疑った。驚き声を出してしまうとリュウさんは口角を上げて微笑んだ。その顔に不覚にもドキッとしてしまったのは睡眠不足で疲れているせいだ。きっと。

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