02
「そんじゃーま、打ち合わせたとおりに頼むわ」
「了解した」
「あ、はい」

詠唱部隊と共に詠唱を始めると地面に赤く光った魔方陣が描き出された。お手並拝見とでもいったところか、リュウさんは私の技術を確認すると、なかなかやるな、と呟き彼も詠唱をし始めた。
シュラの結界を解く作業も順調に進んでいるようで、特に問題もなく任務は完了した。

「ふぅ〜終わった終わったあ。やっぱり三人いると早くていいねぇ。お前暇だったら明日からも付き合えよ」
「…俺に頼らずとも日本支部は人材豊富だろう」
「冗談。そんでなまえ、こいつちゃんと出来る奴だったろ?」
「まあ上二級なだけはあるな」

一応認めてもらえたようなので一安心。しかし人間とは第一印象が大事だとどこかで聞いた。初対面であんな失態を冒してしまったため、信頼関係を築き上げることは普通の人よりも時間がかかりそうだ。

「例の双子。…兄はサタンを脅かすほどの力と聞いているぞ」
「随分なうわさだなあ。たいしたことねえよまだ候補生だ」
「候補生…?」
「ふっ、会って驚けよ」

水門から地上に出る金網で作られたエレベーターから降り、シュラは上機嫌で前を歩いた。

「近くにいい店見つけたんだ、奢るぜ?おい、三丁目まで船で…」

上方からギィィという轟音がし、四人して頭上を見る。何か問題でもあったのだろうか。視力は良い方なので目を細めて音のする方をじっと見つめると、凶暴化した幽霊電車が爆音を放ちながら走っている姿が視界に入った。

「担当者は?」
「奥村先生と候補生が二名」
「ぬぁにやってるんだアイツらぁ!」
「奥村…あれが例の双子か…」

幽霊電車を追うために船に乗り込むと電車が線路から逸れて地上に落下し、そのはずみで建設中の建物などが破壊されていく。燐も青い炎を身に纏いながら川へ落下した。青い炎が出ているため、彼は倶利伽羅剣を抜き電車を倒そうとしていたことが伺える。

しかしまだ息の根は止まっておらず、ピクピクと動いている電車にこれ以上被害を出させないよう、少しでも早く討伐する為に、私は肩から背負っていたライフルバッグからライフルを取り出し狙いを定め、引き金を引く。見事命中はしたが、電車の体の周りにある沢山の目がまだギョロギョロと動いているため完璧には仕留められなかったようだ。

「随分と物騒な物を持っているんだな」
「拳銃の届く範囲より遥かに遠い場所からでも撃ち落とせるので重宝してます。まあ幽霊電車は仕留められませんでしたけど」
「こう見えてもなまえは日本支部の中でも優秀な方なんだぜ。敏腕スナイパーってな」

にひひ、と笑うシュラを睨む。こう見えてもってどういうことよ。褒めてくれてはいるんだろうけど。

電車のいる場所に船が着くと同時にシュラは船から飛び降り電車の方へ向かっていった。私もその後に着いて行く。

「ちっ、逃したか…」
「すみません、急所を狙えなかったようです」
「いんや、気にすんな、あたしも殺れなかったしな」

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