◇前書き◇
エアリスの死、その時のティファの話。


―――

なんだかもう、全てが―…



夢ならば良いのに。
どんなに、そう思っているか。それすらも…、もう貴女に伝える術も無い。




本当に、本当に突然の事だった。
クラウドがエアリスを斬ろうとした事、それも…。



そして…







怖い。
怖くてたまらない。思い出しただけで震える身体を押さえる。

だけど、それ以上の


あの日に抱いた、殺意が純度を高めて甦った。


だから、立ち向かえた。



だけど、もう…






貴女には聞こえていなかった。


流れつくしてしまったのか、血の止まった傷口

染まってしまったドレス、濡れた髪
どれも真っ赤で

血の気を失ってゆく顔色は、それでも眠っているようだった。
いつも、同じ部屋で眠っていたから分かる。あの幸せそうな寝顔そのもの。

触れてみた頬はまだ温かくて…


冗談だと思った。

化粧された顔はいつものもので、今にも「嘘だよ」と目を開けそうで


笑ってくれそうで




『さよなら』なんて意味を成さないと思える程、突然すぎる出来事。


泣く事すら忘れてしまった。
水に沈みゆく貴女を見送って、私の心も同じにどこか遠いところへ行ってしまった。
まだ何も信じられなくて、夢心地に北へ向かうと言うクラウドの後へ続く。


なんて悪夢。夢ならば今すぐ目覚めさせてよ、お願い。




ねぇ、一体
何が起きたの?
何故、私達は旅を続けてるの?

ねぇ、何故
私は血まみれなの?


この血は―…







心が軋む。
もうダメだ、立っていられない。


だって
だって
だって!!!!
「ねぇ、戻ろう?」
険しい渓谷にティファの声が響く。道中ずっと無言だったパーティに、久しぶりに交わされた言葉。
「きっと嘘だよ!」
少し取り乱したティファの様子を見て、ヴィンセントは何かを言いかけて止めた。
「まだ…間に合うよ!」
クラウドはただじっとティファを見つめる。その視線をかわしてティファはクラウドの腕を掴んだ。
「生きてるよ!!」



「だって」




「生きてたんだよ…ッ!!?」

いつしか悲痛な叫び声になっていたティファの訴え。
今更の様に、押し寄せた現実感。


ねぇ、夢だと言ってよ。
嘘だって言って、笑いとばしてよ。


壊れて、流れてゆく涙。崩れてしまった。
もうこのまま倒れてしまいたい。
突っ伏して、ずっと泣いて枯れ果ててしまいたい。

そう嘆いて、折った膝を


クラウドが支えた。
「…」

「クラウド…」
ねぇ、何故、貴方の服までも血まみれなの?
それでも何故、そんなに強く立って居られるの?



「ティファ…」
現実だと、包まれたその腕の強さと温かさに知った。





そして
子供みたいな透明な瞳に、クラウドはティファの深淵を見た。

来た道を戻ることは無かった。


先を急ぐと、言葉にこそしないがクラウドの苛立ちは伝わっていたから。
静かに怒りをたたえて、純度を高めていくに時間は十分だった。



だけど、私の心はまだ遠く離れていたまま。
うぅん、壊れてしまったのかも知れない。

だって、まだ貴女から離れられない。




あまりに壮絶で、綺麗だった、最期。その光景がリフレインする。

そして、
貴女の身体はまだ…温かかったから。


-Fin-


―――

◇後書き◇
もうずっと前に書いてた話です。なんかもう、痛々しい限りなんですが…これ続きます。爆。
前にもちょっと書いたんですが、ゲーム中にティファの心情やら環境などの描写が少ないんですよねぇ、なんか…薄情な印象も無くはない感じで。エアリス死んだ時もユフィの方が切ない感じだし。私はティファとエアリスは大親友だと勝手に信じてるんでねッ!!ちょっと不満な訳ですよッ!!
てな訳で、エアリスが死んでしまって不安定になるティファです。当たり前ですよね…目の前で親友殺されたりしたらマジでショック過ぎて魂飛ぶよ。
続きモノはどこか魂抜けたそんなティファの話。

あ、因みにパーティにヴィンセントが居るのは特に意図はありません。クラウドと三角なドロドロにしようだなんて…そんな楽しい事はコナ微塵も考えてまセン☆☆☆
ここまで読んで頂き、有難うでした!

というのが当時に書いた後書きでした。ムカつくテンションで申し訳ないです。
この話は当時漫画で書いてたんですが、血の表現が結構酷いことになり、悲しい切ないという雰囲気の話にしては血生臭いかな…、と小説にした記憶。流血表現って制限が難しい、楽しいって意味で。あと服にどれだけ染みが広がるのかとか時間差とか考えたりさあ!意外と頭使う。そんな無駄な感じで血塗れ漫画でした。
このあと「スロウ」へ続きます。
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