◇前書き◇
エアリス×ティファ。友情話です☆
ゴールドソーサーのデートイベント後の話。

―――


場所はゴールドソーサー。
夜も大分更けてきた頃、外出先から戻ったティファは同室で眠る仲間を起こさない様にそっと扉を閉めた。

「ふぅ…」
仲間であるエアリス、ユフィは静かな寝息を立てている。ティファはそれを確認すると、忍び足で自分のベッドに向かった。

ベッドに腰かけて、寝支度をする。服を着替えて靴を脱ぎ、ベッドに横になった。
『マリン…無事かな…?…ケットシーも信じられない!スパイだったなんて!』
勇気を出してクラウドをデートに誘ったが肝心な想いを伝えきれず、そしてケットシーのスパイ発覚…と、デートは苦い終りを迎えたのだった。
ティファの顔は自然に険しいものとなっていた。




「ケンカ、したの?」
「きゃ…ッ!?」
突然話しかけられ、ティファは驚いてその方を見た。
「しー…ユフィ、起きちゃうよ」
そこにはエアリスが人指し指を唇に添え、ベッドの中から好奇心で爛々とした瞳を覗かせていた。
「お、起きてたの?」
ティファは動揺しながら小声で喋った。
エアリスはニコリ、と少し悪戯っぽい微笑みを浮かべると体を起こした。
「ちょっと失礼しますよ」
エアリスはそう言いながらティファのベッドに潜り込む。
「わ、ちょっ…エアリス」
エアリスは添い寝をする形でティファに寄り添うと、ふふ、と笑った。ティファも何だかおかしくなり、釣られて笑う。
「布団、冷たいね」
「でも…くっついてる所はあったかいね」
「ねぇティファ」
「ん?」
「クラウドとケンカしたの?」
「…違うよ」
「本当?何か怒ってたから」
「う〜ん、怒ってると言うか…ちょっと考え事をしてただけ」
「ふ〜ん…?」
「本当よ」
「そう?もしクラウドが何かしたんだったら私がキツ〜イお仕置きをしてあげようかと思ったんだけどな〜」
「そんな…、何にもされてないよ!」
「何にも?」
「何にも!…あ」
ティファは慌てて自分の口を押さえたが、エアリスは少し呆れた様に微笑んでいた。
「クラウドってば…、キスもなし?」
「エ、エアリスッ!」
エアリスはティファに甘える様に擦り寄ると、少し強引に抱きしめた。
「エアリス…?」
「クラウドにははっきりしてもらわないと!見てるとジリジリしちゃうんだよねぇ」
「え?」
「はっきりしない所、興味ない振りをする所、…ちょっと寂しがりな所」
エアリスの語尾が、少し寂しげに聞こえた。素直にエアリスに抱きしめられて、ティファは遠い記憶にある母を少しだけ思い出した。
『いい匂い…』
「ねぇティファ」
「ん?」
「デート、楽しかった?」
「うん!」
「あ〜いいな〜。今のティファの顔、すっごく幸せそう」
「えへへ…」
「私もデートしたいな〜」
エアリスが溜め息まじりに呟くと、今度はティファがエアリスを抱きしめた。
「じゃあデートする?私と」
「いいわね、それ!…ちょっと違う気もするけど」
「やっぱり?」
「気にしない!女の子同士、楽しそう」
「決まりね」
ティファとエアリスは、ぎゅうぎゅうと互いを抱きしめあいながら笑う。
子猫がじゃれあう様に、2人はそのまま1つのベッドで眠った。


翌朝。
いつもは1番遅い朝を迎えるユフィに驚かれながら、ティファとエアリスは起こされた。
「どしたの2人で?エアリス寝惚けたの?」
もぬけの殼のエアリスのベッドと、2人を交互に見ながらユフィは首を傾げた。
「今度ユフィも一緒に寝ようね☆あったかいし、ティファはいい匂いだよ〜」
「あ、アタシはいいよ」
「照れなくても、誰にも言わないよ?」
「違うよッ!ほら、早く行かないと置いてかれるよ!?」
焦って部屋を飛び出したユフィを微笑ましく見送りながら、ティファはまだ眠い目を擦った。
「ふふッ」
「可愛いねぇ。…じゃ、用意しよっか」




支度を終えたティファとエアリスは部屋を見渡すと、扉をそっと閉めた。
「…、まだ当分は来れそうにないけど、きっとデートしようね」
「うん、約束ね」

顔を見合わせて、微笑みを交わす。

「楽しみだなぁ」

明るい未来を、描いてた。


-Fin-


―――

◇後書き◇
ちょっと意地悪な姐さんが大好きです!二人が仲良しなのは見ていて温かい気持ちになれます。
2人は親友と呼べる人はいない、と勝手に設定してるので初めて出来た親友にぎゅうぎゅうくっついたり、本当、作中でも書きましたが『子猫がじゃれあう』様に仲良しだと思っています。むしろクラウドがついていけない位に(笑)
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