◇前書き◇
淡々とした感じのルーファウス×ティファ。甘くないです。AC後、DC前辺りくらい。


―――


どうして
こうしていられるのか。

秘密裏に行なっていたWROへの支援。
その情報をかぎつけられ、反神羅をとなえる者がささやかな争いを生んだ。


しばらく厄介になっているのは、何の因果か

あの、クラウド・ストライフ

住居兼事務所である二階に、一階の飲食店であるセブンスヘブン。
ここには、部下達も出入りしているらしい。



午後の煌めくような光が窓に注ぐ。
その光から逃げる様に、車椅子の軌道を調整する。

主の居ないカウンターを何となく眺めた。
―カラン、カラン

ドアベルが店内に鳴り響くと同時に、息を切らせたカウンターの主が戻ってきた。

「ごめんなさい、お留守番してもらって」
頬を赤くしたティファが両手いっぱいに荷物を抱えて笑っている。一体何を買いこんだのか、カウンターテーブルに荷物を置くティファをルーファウスは呆れ半分に眺めた。

「ただいま戻りました」
そう言ってニコリと微笑むと、ティファはカウンターの中へ入る。
「アイスコーヒー飲む?」
手を洗いながらティファはルーファウスに尋ねた。
「…、もらおうか」
「はい」
ティファは快い返事をすると、慣れた手付きでコーヒーをいれはじめた。
趣味の良いトールグラスに注がれたコーヒーはとても良い香りがする。

ルーファウスはコーヒーを楽しみながら、この平和な日常に少し居心地の悪さを感じていた。

「今日は暑いね〜、荷物も多かったし…汗かいちゃったわ」
雑談をしてくるティファに、少し複雑な気持ちになった。
思えば何と奇妙な事か、ほんの数年前には対立しあい敵同士であった。公開処刑などと、殺そうとした事だってあるのだ。

先程からパタパタと、手で顔を扇ぐティファ。
随分と印象が変わって見えた。


「本当は何かお土産買って帰るつもりだったんだけど…貴方って何が好きなのか分からないわね」
ティファが、フフ、と悪戯っぽく笑ってみせた。
「好きなもの?」
「うん」
ルーファウスは考えあぐねるも、特に思いつく事もなかった。

「そうだな…」

「…、そうね」
ティファは少し遠慮がちに微笑んだ。
「例えば―…、コーヒーはブラックが好き、とかね」
「?」
「フフ、私もね」

ティファは封の開けられていないガムシロップをテーブルに転がして遊んだ。

意味不明ではあるが、言いたい事は何となく分かった。…と思う。



「お前は何もないところから始められるのだな」

潰された七番街。
荒廃した土地。
未知の場所。
新しい世界。

「たくましいでしょ?」
「…、全くだ」


ルーファウスは思わず笑った。
望むものとして

小さな幸せさえあれば良い、と
彼女は言った
ちっぽけだと感じた私はそれを伝えると
人の上に立つ事に興味がないと言った

巨大な力、それが望むもの?
失った
今となっては懐かしいばかりだ。





温かい料理を美味いと思った。


この感情は、恋愛には遠いものなのか?
問う声は子供達のはしゃぎ声に消えてしまう。

煌めく陽射しの中、ティファが表で水を撒いている。
アスファルトを流れる水は、夏の熱を昇華した。


-Fin-


―――
◇後書き◇
はい、またも意味分からん話でした。カップリングと言うほどでもないですし。
社長は自信家で余裕綽々な、まさに王子様キャラなイメージなのですが、そんな社長も寂しさやコンプレックスを感じるんだろうか、と最近思う。ACの頃には、没落した貴族、みたいな喪失感を抱いているんだろうか、と。そしてティファに一から始められる逞しさと、それでも受け入れてくれる懐の深さを感じ、それが不思議で堪らないといった風。
補足しますと…ルーファウスは劇的な環境の変化を皮肉に思っていて、思えば自分の事を何も知らないのだと気付く。そんなルーファウスにティファは直接にではなく『ゆっくりでいい』と励ましている(励ます、とゆうのも微妙にニュアンスが違うのですが…)。何を励ますのかと言えば特に無いのですが…、小さな事からコツコツと(笑)です。自分の好きなものを見付ける事も、目標へ歩き出すのも。それぞれに思うところがあればなぁ、と思います。
ゆっくりと歩み寄る様が書きたかったので、何だかスローライフ。そんな雰囲気を感じて頂けたら幸いです。
あ、因みに最後の『夏の熱を〜』は季節の事ではなく、夏の様な熱、とゆう意味です。うん、どうでもいいなぁコレッ!!
ここまで読んで頂き、有難うでした☆
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