「ゼーちゃんとゼロたんとゼっくん、どれがいい?」

ケイが言った。

「…いや、だから俺さま、出来ればゼロスくんって呼んで欲しいんだけどな〜…」
「ヤダ。ゼーちゃんかゼロたんかゼっくん、どれがいいか決めて」

ケイは至って真面目なようで、真っすぐにゼロスを見つめたまま目を逸らそうとはしない。

話はほんの数分前にさかのぼる。ケイが突然ゼロスの前にどかっと座ったかと思うと、突然ゼロスのあだ名を決めるのだと言い出したのだ。ゼロスは「ゼロスくん」がいいと何度も主張したのだが、ケイはそれを全く聞き入れようとはしない。その攻防がいまだに続いているというわけだ。

「ケイちゃーん、俺さまさすがにそのあだ名は恥ずかしいって」
「どうして?可愛いの一生懸命考えたのに」
「可愛いって…まぁケイちゃんがそういうなら否定はしねぇけど、さ。でも俺さまやっぱりゼロスくんて呼ばれたいんだけどなー」
「ヤダ!ゼロスくんは絶対に、イヤ!」

ケイはぷくっと頬を膨らまして言う。ゼロスの意見なんて全く無視である。さすがにゼロスも呆れたように溜め息をついて、ケイに問う。

「…じゃあなんでケイちゃんはそんな風に俺を呼びたいわけ?」

ゼロスの問いにケイは一瞬キョトンとしたが、すぐに満面の笑顔を作ると、元気よく声を上げた。

「だって、私だけそうやって呼んだら、ゼロスのこと特別に思ってるんだなってみんなに気付いてもらえるかなって思って!」
「…は?」
「だってゼロスが大好きだもの!」



アホの子とアホ神子
(…)
(え、なんで黙り込むの?)
(いや、アホだなーと思って!)
(! ひどいよゼロス!)
(…でもそんなとこも可愛いとか思っちゃう俺さまも、やっぱりアホだなーって思う)


2012.02.21

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