すやすや

すやすや

まるで小さな子どものように寝息を立てるケイの髪を、ゼロスはやんわりと梳いてやる。昨夜は散々艶のある声を上げて啼いた、あんなに色っぽい女だったのに眠り始めるとこれだ。そのギャップもまた、ゼロスの心を捕まえて離さない、ケイの魅力のひとつである。

「…んぅ…」

ゼロスの腕の中でもぞもぞとケイが身じろぎをする。しかし相変わらず眠ったままだ。

ゼロスは愛おしいケイの額にそっと唇を落として、彼女のしなやかな体を抱きしめた。素肌が触れ合って、その温もりが心地いい。

このまま時間が止まればいいのに、なんて柄でもないことを思いながら、ゼロスも柔らかな夢の中へもう一度飛び込んだ。



まだ明けない夜と朝の狭間で
(君と見る夢ならいつだって幸せなのさ)

2012.02.13

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