「…ちょっとケイちゃん、飲みすぎ」
「え〜?そんらことらいよ〜?」
「…」

世界統合後、なぜか俺さまの屋敷でお祝いしようと言い出したロイドにみんながみんな賛成して、結果、ケイは酒を飲みすぎてべろんべろんなわけである。

「ぜおすもー、もっとのものも〜」
「…はぁ、いい加減もうやめとけってケイ」

俺が制しても、ケイはまともに聞きゃしない。そりゃこんだけ飲んだら上等だわな、と俺は床に転がる酒瓶を見つめて溜め息をついた。高級ワインが3本。全部ケイが一人でいった本数だ。

他の連中ははしゃいで飲んで、もうずっと前にその辺で眠ってしまったというのに、ケイだけはいまだに飲み続けている。決して彼女は酒に弱いわけではないが、今回は飲み方が悪かった。

ゆっくりほどほどに飲めばまだまだ入るのだろうが、今回は祭りのような騒ぎで、もう狂ったように飲んでいたのがまずかったのだ。まあ狂ったように飲んでいたのはケイだけじゃなく、あのリフィルさままでもがハメを外しまくっていたから、仕方ないといえば仕方ない。

「やだ〜もっとのむの!」
「もうダメ」
「ぜおすのけち〜」
「…もうケチでも何でもいいわ…」

わりと普段はしっかりしているケイなだけに、酒に飲まれるとこんな風になるとは思っていなかった。呂律が回っていなくて、頬を赤く染めてへらへらとして、ひどく上機嫌だ。

…そんなケイさえ可愛いと思ってしまうあたり、すっかりほれ込んでいるもんだ、と自分に苦笑い。

「とにかくもうダメだぜケイ。お前いくらなんでも飲みすぎだ」
「やー!」

ケイが握って離さないワインボトルを取り上げれば、ケイは小さな子どものように縋ってくる。あんまり可愛いから、これじゃ理性がぶっ壊れてもおかしくない。

しかしこんなところで理性のたがが外れたらとんでもないことになるので、とりあえずケイを抱き上げるとそのままケイを部屋に連れて行った。ケイをベッドにおろして無理矢理寝かそうと試みれば、ケイは渋々ベッドに潜り込んだ。

「ぜおすのけち〜」
「はいはい、また今度ゆっくり飲もうな」

ようやく落ち着いたケイを見て、俺も自分の部屋に戻ろうと立ち上がると、ケイの手がぎゅっと俺の腕を掴んだ。思わず寝転がるケイを見つめる。

「どこいくの?」
「俺さまの部屋。俺さまももう寝るわ」
「じゃ、いっしょにねお〜」

にっこりと愛らしい笑顔で要求された。
…とりあえず、ここは理性に逆らうべきなので丁寧に断ってみる。

「…ケイちゃん、俺さまがどういう人間が分かってて言ってるのかな?」
「ぜおす!」
「…襲っても知らねぇぞ?」
「いいお〜」

まあさすがに酔っ払ってる女の子をどうこうしようっていうほど出来てない人間じゃないので、そこは我慢。一向にケイが俺の腕を離す気はないようなので、仕方なくケイの隣に潜り込めばケイは嬉しそうに笑った。

「ぜおす、はぐはぐ」
「へいへい」

華奢なケイの体を抱きしめてやれば、ケイは幸せそうにえへへと笑う。とりあえず俺さま眠れるかな、と自分の心配をしていると、ケイからはすやすやと心地良い寝息が聞こえてきた。まったくこっちの気持ちも考えてほしいものである。

「…ほんと、とんでもない姫君にほれちゃったなー俺さま」

ケイの髪をかき上げて、白いおでこにキスをする。そしてそっと瞼を閉じて、俺も柔らかな眠りについた。



パーティーナイト
(……な、なんで私ゼロスに抱きしめられて寝てたわけ…?)
(…すぅ…すぅ…)
(…ま、いっか)



ゼロスの片想いとかだと可愛いなって思う作品。

2011.10.11

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