テキスト | ナノ

 秀徳に入学してからちょっとあとに、真ちゃんとはじめたリアカーの運転を賭けたジャンケンも、もう三年の月を経た。ついさっき卒業式が終わった。こうやってふたりで向き合うのも最後だ。
 思えば最初はオレの負けばっかだった。「人事を尽くしているのだよ」とか訳のわからんラッキーアイテム片手にして言って、お前は何に守られてんだよって感じだった。けど三年の間でオレは成長したんだ。真ちゃんは負けるたびにいまだに首かしげるけど、何年お前の相棒やってたと思ってるんだよ。
 いよいよお互いに拳を持ち上げる。どっちが勝ってもおかしくない、このラスト勝負。悪いけどきっとオレの勝ちだぜ。


2015.09.20(泣かないなんてウソだよ)