「本当にいいのか?」 星降る夜のような声だった。黒子は、それに、腹を上下させながらうなずいた。後孔をぐずぐずになるまで溶かれた黒子の身体は、震えが止まらず、視界も涙でかすんでいたけれど、真上にかぶさる赤司がその頷きに少し笑ったのがわかった。これで赤司に微笑が浮かぶなら、黒子は何にだってなれる気がしていた。 彼らは、今夜、初めてひとつになる。 赤司が、黒子の膝の裏を持ち上げる。ゴムで覆った自らのペニスをすぼむアナルのふちにぴたりと押し当てた。 「ううっ、ふッ、く、うあっ」 赤司がゆっくりゆっくり腰を奥へと進めるにしたがい黒子の口から漏れ出るのは、苦悶した呻き声。何かを受け入れるためには作られていない場所を拓かれる感覚にどうしたって強ばってしまう身体を、朦朧とする理性で叱咤しながら、黒子は赤司の腕にすがった。 「黒子、苦しいか?」 「だっ、いじょ、ぶッ、です」 赤司はたっぷり時間をかけて黒子の胎内へペニスを埋めた。赤司の額から黒子の腹にはらはらと汗が散らばる。 「ああ……はいったよ、黒子」 「うっ、ああ、はあっ」 「つらいのか?」 「はあ、はッ、ん、だい、だいじょ、ぶ、です」 黒子が眉を八の字にゆがめて笑う。それでも表情はまだ硬いままだ。空気にさらされた細身がふるふると緊張している。赤司は口の中に溜まった熱い息を深く吐き出した。そして黒子に余計な負荷がかからないように注意しながら身体を前に傾ける。 「黒子」 「ふあ、あっ、な、なんで、す、か?」 「ありがとう」 「あか、しく、んう……っ」 赤司が自身のすべてを明け渡すように、黒子の唇へキスをする。 「ありがとう、黒子。たくさん苦しかったり痛かったりしたはずなのに、ふたりのために、こんなに頑張ってくれて、ありがとう」 ──好きだ。 黒子は、ぼんやりとする意識の中で、赤司に抱きしめられ、頭や身体をゆっくり撫でられながらその言葉を聞いた。黒子がおずおずと腕を伸ばして赤司の背中をぎゅっとすれば、ぎゅっとし返される。それがなんだか擽ったくて、黒子は一瞬、息を詰まらせたあと、赤司の肩に顔をうずめた。押し寄せる幸せに、泣いてしまいそうになるのを隠すために。 2015.04.16(星が降る夜の話をしよう) |