気を失っていたのかもしれない。ベッドがギシリと音をさせて沈む感覚に、氷室はゆるゆると目を開けた。少し首を傾けると、素っ裸のままで腰かける火神の広い背中があった。頚椎から腰にかけて、綺麗な曲線が浮かび上がる。火神は、背筋を隆々と際立たせながら自身の頭を無造作にかき混ぜると、気がついたように氷室を振り返った。 「ああ、タツヤ、起きたのか」 「久々に飛んでたみたいだね」 「うっ、わりぃ、加減できなくて」 「はは、いいよ」 セックスをして気絶するほどの愉悦を与えられ続けた。それは苦しいくらいに善く、辛いくらいに幸せで、その瞬間だけは清廉潔白な身を黒く汚し、氷室も自身の欲を優先した。おあいこなのだ。 しんと張り詰める空気のなかで、ぽつりと火神が明るく切り出す。 「シャワー浴びるだろ? 今日はちょっと冷えるからな、浴室あっためてきてやるよ」 照れくさそうにそうとだけ言い、火神はそそくさと立ち上がった。姿を見せた尻の、なんと逞しいことか。筋肉で引き締まってえくぼのある弾力良さそうな尻たぶから、バスケのために日ごと磨かれるハムストリングへ繋がる様の美しさ。 氷室は性懲りもなくあの身体に愛されたいと思う自分に苦笑するばかりだ。 2019.03.17(手癖が悪くて敵わないな) |