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 元日の朝、郵便ポストに一枚の年賀状が届いていた。差出名は緑間真太郎。昔から誰にでも礼儀を重んじる彼は、黒子にも毎年欠かさずこの賀状をくれた。黒子はそれをとても楽しみにしていたが、今年は寂しくもある。緑間の年賀状を貰えるのは、これが最後だからだ。
「来年から住所が同じになるぶん、お前に出す手間が省けるのだよ」
 先日聞いた彼のくぐもった声音を思い出し、黒子は肩を揺らし届いたばかりの葉書でそっと唇を隠した。

2017.01.07(今年もよろしく願います)