テキスト | ナノ

 ジリジリと照りつける太陽。まだ高いところにある陽がまるで自身のすぐ真上にあるような感覚に頭の中が白くなり、黒子はとうとう、ふらりとバランスを崩した。


「すみません、いつもすぐぶっ倒れちゃって」
 学校の帰る道すがら、公園のベンチで黒子は重い体を転がす。弱々しい声で謝るのは、一緒に歩いていた青峰にたいしてだ。よろける黒子を運んだのは青峰だった。
「バーカ、気にすんな。いいから寝とけって」
 黒子と同じベンチに座る青峰は悪戯っぽく笑っていた。じきに視界を遮るように青峰の大きな手のひらが、黒子の瞼を覆う。じんわりと染み渡る重みが心地よさそうに、黒子はおとなしく目を閉じた。
 彼は案外やさしいところがあると言うことを一体どれほどの人が知っているのだろうか。


2012.07.08(14話エンドカードより)