main | ナノ


年下の彼は可愛くてかっこいい

近すぎず、遠すぎず


彼の笑顔が私の栄養源





「名前せんぱーい!」

「あ。赤也くんおはよー」


私の気になる彼は1コ下。つまり後輩
テニス部唯一の2年生レギュラー、たいしたもんだ


「今日部活休みなのに早いっすね」

「赤也くんも早いじゃん。さては宿題忘れたな?」

「ゲェ!?な、なんでわかったんスか!?やばいんですよ〜助けてください!」

「助けてって…何の宿題?」

「英語!」

「ああ…英語苦手だったっけ、赤也君」


泣きそうな彼はとても可愛くて、ついついいじめちゃう


「そうッスよぉ…ジャッカル先輩は寝坊とか言ってたし、柳生先輩にお願いしたいんスけど、柳生先輩、真田副部長と同じクラスなんで行きたくないんすよ」

「自分に素直だね、いいよ、見てあげる」

「マジっすか!?助かります!」


君と一緒に居れる口実だからね














私は自分の教室、3年C組に向かう


教室には誰も居なかった


いつもならある人物が楽しそうに花瓶の花をかえているのだが、部活が休みなのもあってかガラン、としている


「先輩の席どこっすか?」

「あそこだよ」


私は彼を席に案内する
後ろをちょこちょこついてくる姿がなんとも可愛らしい


「あはは、赤也君ってば可愛いね」

「え、何言ってんすか、先輩のほうがめちゃくちゃ可愛いっすよ」


不覚にも。


顔から火が出るくらいに真っ赤になったのは鏡を見るまでも無く


「ほら、そーゆーとこ、可愛いっすね」


悪戯っぽく笑う彼が可愛くて、かっこよくて




「ほら、早く宿題見てくださいよ先輩」

「あ、ああ、うん」


どうしよう、心臓の音聞こえちゃうかも


問題を見て顔をしかめたり、わかった瞬間輝いたり
見ていて飽きない、とても好き


「やったー!あと1問で終わりっす!」

「よーし、この調子で「もう授業が始まるよ」


いつの間にかに人が増えた教室

赤也君は私の前の席に座っていたのだけれど、その席の住人から注意を受けた

そう


「ゆ、幸村部長…!?」

「残念だったね赤也。タイムオーバーだ。どいてくれるかい?」


みるみる青ざめる彼の顔はとても面白かったがなんともかわいそう


急いで教科書を鞄に詰め込んで教室を飛び出す


ああ、ばいばい言いそびれちゃった


「なーに名残惜しそうな顔してんの?」

「幸くんのせいで私の幸せタイムがぁ…」

「ホント、なんで赤也なの?」

「可愛くない?」

「さぁ?女の子の可愛いはわからないからね。ちなみに僕のことはどう思う?」

「んー、美人さん」

「褒めてる?」

「すごく」

「ありがと」


幸くんとの不毛な会話をしていたときだった
教室のドアが勢い良く開く

何事かとそこを見れば、だいすきな君が居て






「名前先輩!今日、部活ないし一緒に帰りましょう!あとよかったらお昼も!帰りに何かおごるっす!んじゃ、放課後!」




ぽかん、と見つめているだけだった
反応できなかった

「バイバイ言いそびれたね」

クスクス笑う前の席の幸くん
くそぅ…

「でも会えるし」

「そうだね、どうしようかな、今日部活しようか?」

「うわー、マジ魔王。ないわー」

「それを言うなら赤也は悪魔だよ」

「否定しないんかい!って…まあそうだけど」


だけど


「好きなもんは仕方ないよ」






でいいよ
(私にとって君は天使より魅力的だから)





(title byEGREL)