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「リゾットのリは理不尽のリ!!!!!」
「聞き捨てならんぞ名前!!!」
今日もアジトは騒がしい。
プロシュートはめんどくさい時にラウンジにいたな、とため息をついた。
ラウンジには暗殺チームのリーダーリゾットとその恋人名前、そしてプロシュートの3人だった。
リゾットと名前はよく言い争いをする。
喧嘩、とまではいかない、ただ周りが呆れるほどの原因で言い争いをはじめる。
今日の言い争いの理由は……
「プロシュート聞いてよ!自分はセロリ嫌いなくせに私にはトマト食べろって!!!」
「そういや名前、トマト嫌いだったな」
「そうなの!でもリゾットはセロリ嫌いなんだよ?おかしくない?」
「まあ、そうかもな」
正直どうでもいい、という言葉を飲み込んだプロシュート。
持っていた新聞に目線を落とし、さっさとふたりが出ていってくれるように祈った。
先程、ペッシがラウンジの入口から覗いたが厄介事を感じてすぐに頭を引っ込めた。賢い判断だ。
「ねぇリゾットォ、いいじゃない、別にトマトくらい」
「イタリア料理はトマトが多いんだ。克服しろ」
「いーやー」
「ワガママを言うな」
どうでもいい……
プロシュートは出てくる欠伸を噛み殺す。
「それに、ちゃんと食事を取らなければ何かあった時に動けないかもしれないじゃあないか。俺はお前が怪我をするのは耐えられない」
「え?しないよ?」
名前はきょとん、とリゾットを見る。
何故言い切れるのか、とプロシュートもちらり、と名前を見る。
「だってリゾットが守ってくれるでしょ?」
さも当たり前のように名前は笑った。
ただ、あまりにも屈託のない笑顔なので困ったリゾットは思わずプロシュートを見た。
「いや、俺を見るなよ」
プロシュートは小さくため息をつく。
「ねえリゾット。守ってくれるでしょ?」
「俺は守るけどな」
プロシュートがケロッと答えれば、リゾットは大急ぎで名前の手を引き、キッとプロシュートを睨んだ。
「名前は俺が守る」
「……」
プロシュートは面倒くささに限界が来たので立ち上がり、
「痴話喧嘩はベッドの上でしろ。発端から仲直りまでそこで解決すっから」
そう言い残しラウンジを後にした。
ラウンジを出ると、ちょうどイルーゾォが玄関から帰ってきた。
「なんだ?プロシュート、お前ちょっとやつれた?」
「うるせぇ、痴話喧嘩に挟まれてイラついてんだ」
「そいつはご愁傷さまだな」
「……あの、リゾット、あの…トマト…頑張る……」
「ぁ、ああ、そうだな。よし、俺もセロリ食べるように努力しよう」
「だから、だから今日は、あの、仲直り……」
「もちろんだ。拒んでも連れていく」
「リゾット……!」
トマトとセロリと生ハムくん。
(うるせぇー!!そういやリーダーの部屋俺の隣だった!!!!うるせぇ!!盛ってんじゃねー!!!言うんじゃなかった!!!!)