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0128//温もり



「寒すぎて冬の神様ってのがいるならグーパンお見舞いしたい」

「随分と攻撃的だな」

私は今、リゾットさんの部屋にいる。
暗殺チームはこの世界では、ガッポガッポ大儲けのホストクラブを経営していて、リゾットさんはそこの店長。
私の花も品卸しているからそれなりに話す事も多い。
で、今日はたまたま道端で出会ってしまった彼の家になんとなくお邪魔したのだ。

突然の来訪でもいやな顔ひとつしないのは、ポーカーフェイスだからだろうか。
それとも彼の心が広いからだろうか。
後者だと思いたい。

「リゾットさんはさ、寒いのとか平気なの?」

「そこまで苦に思ったことはないな」

「そいつはすごいや」

鍛えてるからかな?あ、男の人って基礎体温高いからそれのせい?
あの胸元が開いた露出狂よろしくな服ではなく、ただの黒いワイシャツ。
3個目まではずされたボタンと、チラリと見える胸板。

「…なんだ?」

「いやあ…」

今日は実に“なんとなく”が多い日だ。
なんとなく触りたくなり、そして触れた。

思ったとおり、じんわりと体温が伝わり、思わず頬が緩む。

「これってセクハラになるかな?」

「セクハラとは、触られた相手が嫌だと思ったらセクハラだろう?」

「…じゃあ、嫌?」

「嫌ではないな」

「へへ、よかった」

こつん、とその胸板に頭を預ける。
ああ、あったかい。


「寝てもいい?」

「…おやすみ」

「おやすみなさい」

だってとても心地良いから。


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