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0108//寝坊
「ぎょぇ!?」
あまりに衝撃。あまりにショック。
時計の針は彼との約束の時間を30分ほど過ぎていた。
違う、違うんだよ。
もっと早く、これより3時間は早く起きるつもりだったんだ。
頭の中で言い訳を羅列した時、インターホンが誰かの訪れを知らせる。
「おい、名前。いんのか?いるだろ。」
「い、いません……」
「いるじゃあねえか」
いわゆる“寝坊”をしてしまった私。
正月で寝まくったのが見事に尾をひいているらしい。
そして、寝坊をした今日は生憎も……
「このプロシュートとの約束に寝坊たぁいい度胸じゃあねぇか」
皆の兄貴、プロシュートとの約束があった。
あまりにショックというかもう言葉すら浮かんでこない。
神経質にコメカミをぴくつかせている彼にスタンドでも使われてはかなわないので、渋々パジャマのまま扉を開ける。
「おはよう……ござます……」
「おう、もう昼だけどな」
そうですね、11:30ですもんね。下手したら早めのお昼ご飯の時間ですもんね。
「ったく、ぐしゃぐしゃの頭にどすっぴんでパジャマかよ。お前、もっと女であることを意識しろよ」
「いや、その……寝起きでして……」
「見りゃわかる」
「ですよねー……」
もう言い訳は考えずにひたすら謝ろう。
へこへことthe日本人よろしく頭を下げまくった。
プロシュート兄貴のため息が頭上から降ってくる。
うう、ため息に押しつぶされそうだ。
「さっさと着替えろマンモーナ。まさかこの俺とのデートをパジャマで行くつもりじゃあねえだろうな?」
「え、でももう約束過ぎたし……」
「ヨーロッパの人間は意外にのんびりなもんだ。俺もな。待つのを飽きる前にさっさと準備しな」
「う、うん!」
結局、お正月セールには間に合わなかったけど、ご飯を食べて、アクション映画を見て、何かと楽しい1日を過ごせましたとさ。ちゃんちゃん。