副会長の流派




「…志村、どうした?」

「土方くん…」

「何かあったのか?俺で良ければ、話を聞くが」

「いいえ、何もないわ」

「…目が赤くなってるようだが」

「…泣いた覚えは、ないんだけど」

「そうか…ならいいんだ。悪ィ」

「‥‥」

「‥‥」

「……絶対、誰にも言わない?」

「当たり前だろ。俺は他言しねェ」

「…坂田、くんが」

「…あいつが?(あのクソ天パ、後で殺す)」

「まな板とか、進化には俺のゴールドハンドが必要とか言うから、さっきぶっ飛ばして来たんだけど…」

「あぁ…(懲りねェヤツだな。でも後で絶対殺す)」

「ねぇ、男の子ってその…みんな大きい方が好きなの?私、その、やっぱり…ち、小さいの、かしら…」

「そんなこたァ、断じてねェよ。気にすんな」

「で、でも…りょうちゃんは私と同じ身長なのに、あの…あきらかに違うのよ。何だか大関対小結みたいなのよ」

「スタイルなんて、人それぞれじゃねーか。お前にはお前の良さが、ちゃんとある。
好きなタイプだって同じだ。大体、人を好きになるのは外見だけじゃねェだろ」

「土方くん…」

「ちなみに俺は、手のひらサイズ流・形重視派だ。あと、美脚重視」

「て、手のひらよりはちょっとは余るわ!」

「へ?ちょっ、余るって…え?」

「そっ、それに!がんばればBくらいになるのよ!」

「そ、そうだったのか。ウン、そうだよな!人間、気合い上等だよな!
(…そうか、もう少しあるのか…がんばればB…いや頑張るってどう頑張るんだ?誰かが協力すればってことか?もしや志村は、俺に応援を求めて…!?)」

「…土方、くん?(やだ私、何か変なこと言っちゃったかしら…?)」

「心配すんな、志村。俺は全面的に応援するぜ。善は急げだ、現況を確認するついでに頑張る手伝いしてや…」

「死ね!」


副会長、戦死。
その背後では、心得にしたがって密かに土方を確保しようと、隙を狙っていた3人が息を潜めていた。


「おーいジミー、副会長が戦死したぞ。衛生係(ヅラ)呼んでこい」

「会長、あんたも絆創膏貼ってもらった方がいいですぜィ。
副会長、情報は無駄にしねーから安心して逝ってくだせェ」

「頑張ればBねェ…クク」


記録係と衛生係が走る。
副会長はフォローの名人だったが、肝心なところで地雷を踏む達人でもあった。



(080419)



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