ボランティアの言い分





※ちょっとシモネッティフル(下ネタしい)かもしれないです
苦手な方はご注意を





阿音が教室に入ると、銀時がマンガを読みふけっていた。
他に人がいないのを確認すると、阿音は銀時の席へと足を進めた。

「ねぇ、坂田」
「あー?」

読んでいるマンガから目を離さず、声だけで返事をした銀時を、阿音は呆れたように見下ろした。

「アンタたち、まだあの変なグループでなんかやってるの?」
「お前にゃ関係ないだろ。つーか、女にはわかんねーよ。俺たちのロマンなんて」

ペラリとページをめくる音がのんびりと響く。

「わかりたくもないわ。そもそも、なんであんなに妙に執着するのよ」
「さァ?育てる楽しみがどうのとか言ってる奴もいるけど、俺のスタンスは純然たるボランティアだな」
「はぁ?」

マンガを閉じながら、銀時は阿音を見上げる。

「お前だって知ってるだろ?志村のコンプレックス。そんなにまな板を気にしてるんなら、一度俺に任せてみりゃいいのによォ」

欠伸を噛み殺しながらボヤく銀時に、阿音はため息をついた。

「バカじゃない?どこの世界に、カレシでもない男に胸揉ませる女がいるのよ」
「え、お前とか」

平然と返ってきた言葉に、阿音の眉がつり上がる。

「ぶっ飛ばすわよこの白髪」
「やってみろアバズレ」
「アバズレじゃねーって言ってんだろうがこのDO−TEI!!」
「俺はDO−TEIじゃねェェェ!!」

にらみ合う2人。
そこへ教室の扉が開き、妙が窘めるように声を掛けた。

「ちょっとあなた達。その怒鳴り声、教室の外まで聞こえてるわよ」
「あら、ちょうどいいところに来たわ」

銀時とにらみ合っていた阿音が、口の端を上げる。

「妙、アンタまだ発育不良に悩んでるの?」

阿音の言葉に一瞬固まる妙。
次に浮かべた笑みには、不穏な気配が滲んでいた。

「………何の話かしら」
「まな板の進ガハァッ」

反射的に裏拳を繰り出して銀時を黙らせた妙が、あきれたようにため息を吐いた。

「阿音ちゃんまで、そんなくだらない話に混ざってるの?」
「クラスの男子共があまりに低レベルなことやってるから、アドバイスしてただけよ」
「阿音ちゃんも暇なのね」

半目になった妙に、阿音がムッと眉を寄せる。

「何よその目。面倒だから、アンタの悩みも一気に解決してあげようと思ったのに」
「結構よ、悩みなんてないもの」

わざとらしい笑顔付きで返ってきた言葉を、阿音は鼻で笑う。

「よっく言うわ、この前もロッカーでりょうに慰めてもらってたくせに」
「なっ…!!」

言葉に詰まった妙の横で、復活した銀時が心配そうに眉を顰めた。

「マジで?そんなに気になってるのか、ひんにゅ…いだだだだだだ!!」
「ちょっと、いい加減にしてくれる?坂田くん」
「スンマセン!ギブ!ギブ!!マジで折れる!!」

ギリギリと、恐ろしいまでの笑顔で銀時の腕を捻り上げる妙。
阿音は銀時の悲鳴なんてまるで聞こえていないように、ニッコリと微笑みながら妙の二の腕に手を添えた。

「こういう話を知ってる?胸の大きい女に胸揉んでもらうと、胸が大きくなるんだって」

銀時の腕を捻り上げていた妙の手が緩む。
いぶかしそうに阿音を見つめる妙。
その瞳に微かな期待が滲んだのを、阿音はもちろん見逃さなかった。

「……ホントに?」
「試してみる?」

おずおずと聞いてきた妙を、阿音がすかさず引き寄せる。
隙を突かれた妙が、阿音から逃げ出そうともがくも、時すでに遅し。

「ほら、大人しくしてなさいよ」
「えっ、いや、ちょっと待っ…!!」

妙の叫びが響く中、銀時は止めに入るか便乗するか、メジャー片手に真剣に悩んでいた。



《おまけ》

「何やってるんだい、君たち」

「伊東くん…!」

「……(来たよ優等生)」

「進化論について、アバズレの理論の実証中」

「うっさい、HO−Kは黙ってろ」

「ちょ、おまっ、なんてこと言ってんのォォォ!?つか皮なんて被ってねーし!!おい志村ァ!俺、被ってなんかないからね!!」

「え…えぇ(帽子の話かしら)」

「そうかい。何かよくわからないが、志村さん、弟くんが探していたよ」

「えっ…大変、忘れてたわ!!」

「卵のタイムセールにはまだ間に合うハズだよ」

「ありがとう、伊東くん!また明日ね!!」

「またね、志村さん(にっこり)」

「ちょっと、妙…チッ、逃げられたか」

「あーあ、残念残念」

「君たち、あまり志村さんをそのネタでいじめない方がいいんじゃないかい?」

「いじめてねーよ!っていうか、むしろいじめてたのはこの女だろ」

「…へェ、優等生は妙みたいなのが好みってワケ?」

「ただの友情か恋愛感情かは知らないが、君たちが志村さんにこだわるのと同じだよ」

「はァ!?私があの女に持ってるのは、貧乳に対するボランティア精神だけよ」

「何言ってんだ、ボランティアは俺だけで十分だろ」

「うっさいだまれ」



(101130)



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