運動の秋/学生ALL




《東側・赤組陣内》

「向こうはひとりひとりの能力は高いが、協調性がねェ。そこに付け入る隙があるハズだ」

「でもあちらさん、妙に息が合ってませんかィ?あまりナメてかかると、足元掬われそうですがねィ」

「確かに油断はできねェ。だが、あいつらに組織的な行動っつーのは100%無理だろ。こういうのは組織プレーが出来る方が有利なんだよ」

「一理あるね。できれば一気に勝負を決めたいところだが、それは向こうも同じだろう。攻撃も大事だが、守備が要だね。特に支え役が重要だ、簡単に棒が倒れてしまっては話にならない」

「伊東の言う通りだ。攻撃・遊撃・守備の3つに分かれて布陣する」

「攻撃はとにかくスピード重視になる。身軽な方がいいだろう。それと少数精鋭で行った方がいい。3〜5人くらいが、連携が取り易くていいだろうね」

「俺がいきまさァ」

「仕方ねェが妥当だな、俺も出る。あと山崎と原田ってとこか」

「ハイ」

「ウッス」

「遊撃は向こうの攻撃の妨害が中心になるが、状況に応じて守備にまわる必要がある。10人ほどで足りるだろう。これは‥僕が司令塔になるよ。残りは一番肝心な守備に回そう。中心は、やっぱり近藤さんがいいだろうね。安定感がある」

「任せておけ!この身が倒れても、絶対に棒は死守しよう!」

「いいかてめーら、メイドの誘惑に負けんじゃねーぞ!」

「志村さんに一番似合うのは、大正浪漫だ!」

「みんなでぴったりなリボンを買いに行こうぜィ(全部俺が巻き上げるけど)」

「おい総悟、腹黒いこと考えんな。士気が下がるだろ」

「土方さんこそ、むっつりは止めてくだせェ。士気下がるんで」

「忍ぶれど‥とはよく言ったものだな、土方くん」

「なんだ?何か辛いことでもあるのか、トシ」

「うるせェェェ!!」



《西側・白組陣内》

「わかってるよな?お前ら。最初からフルスロットルで一気に勝負を決めるぞ」

「貴様に言われるまでもない。だが、闇雲に突っ込むわけにもいくまい。作戦が必要だ」

「確かにそうだけどよ‥めんどくせーなァ。どうしたもんかね」

「向こうは組織的に動いてきそうじゃの〜まともにいかない方が良さそうじゃ」

「攻撃は最大の防御って言うじゃねェか。最初に向こうのアタッカーや司令塔を潰すってのはどうだァ?」

「それも悪くはないが、時間が掛かりすぎないか?足止めするくらいでいいだろう。それよりもいかに早く棒を倒し、てっぺんの旗を取るかを考えた方がいいな」

「‥向こうはきっとゴリラだろ?守るの。アレ倒すのには骨が折れそうだな‥ゴリラだもの」

「クク、こっちには切り札があるじゃねーか。そいつを使えば一発だ。なァ、志村弟」

「えっ、僕!?無理ですよ!近藤さんに勝てる訳が‥!」

「あーその手があったか。新八なら軽いし、地味だし」

「地味って関係ねーだろォォ!」

「いや、その地味さなら向こうも警戒しないぞ、新八くん」

「おんしならきっと空も飛べるぜよ!アッハッハッハ」

「飛べるかァ!」

「まーまー、落ち着けってぱっつぁん。お前はやればできるヤツだって俺は知ってる。お前ならやれる。だから、一丁決めてこいや」

「何を!?お前ら、僕に何をさせる気なんだよ!」

「わしらが向こうの攻撃を邪魔するじゃろ?」

「で、俺らが向こうの守備を崩してやるからよォ」

「その隙に、俺と銀時で新八くんを打ち上げる」

「お前は、旗つかんでそのまま落ちてくればいいわけだ」

「いいわけあるかァァァ!打ち上げるって、僕ァ花火かコラァ!!」

「仕方ねーだろ?そのくらいやらねーと、せっかくのメイド喫茶がおじゃんになるんだよ!」

「はいからさんも捨て難いがな。なかなか見れるものじゃないだろう?」

「男のロマンぜよ。髪はやっぱり下ろしてもらいたいのぅ」

「ひざ上は最低10cmだよなァ。ピンクもいいが、黒も捨て難い。その場合は、黒のニーソで決まりだなァ」

「アホかァァァ!!」



《南側・応援席》

「‥何か、みんなすごい気合が入ってるのね」

「男の意地を懸けた戦争だって、銀ちゃんが言ってたアル」

「男の意地?」

「それって、文化祭でやる喫茶店の服のことでしょ?矢絣袴かメイドかで揉めて‥」

「あっ、姐御!新八あそこにいるアル!銀ちゃんとヅラも一緒ネ!」

「もしかして先頭切っていくつもり!?新ちゃんの勇姿をちゃんと見届けなきゃ!!」

「ちょっと、妙‥!」



東西に分かれた両者が睨み合う。
一瞬の静寂。
パン!と乾いた音と共に、両サイド前列の男達が一斉に相手の陣へ走りだした。



「新ちゃん、行けェェェ!!」

「気張るアル、銀ちゃん!新八ィィ!!」

「絶対はいからさんだァァァ!!」

「メイドに決まってんだろーがァァァ!!」



―――勝利の女神が微笑むのは、どちらか。





※ちなみに棒倒しとは、中高男子の体育祭における花形競技(←個人的見解)
2組に分かれて、相手方が支えている2メートルくらいの棒を先に倒した方が勝ち。
管理人が学生の時は、棒の先に旗が立ってて、それを取った時点で勝敗がついてました。
3回勝負ですごい見応えがあったな〜懐かしい(笑)



(081020)








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