■奥村誕のお祝いコメント!
双子大好きだー!末永く爆発しろおおおお!!


年の暮れが押し迫った12月。今年も残すところ4日となった。年末年始ともなれば、色々と行事は増えるわけで。二人を取り巻く環境も、何かと慌ただしくなっていた。それに加え、今日12月27日は燐と雪男にとって特別な日だった。


双子とケーキと誕生日


人でごった返す商店街を抜け、ようやく家路についたのは日も暮れた六時過ぎだった。普段の何倍もの買い物客が押し寄せていたせいで、随分と時間がかかってしまった。

「ちょっと買い過ぎちゃったね。」

両手に荷物を抱えた雪男は、苦笑交じりにそんなことを呟いた。年末恒例の大安売りのせいで、ついつい大量買いしてしまった食料品。片手に二つずつ、計四つの袋は、流石に重い。本来なら、馬鹿力が取り柄の燐に持ってもらえばいいのだが、生憎彼は両手に段ボールを二つ抱えている。中身は安売りの飲料水。そんな大荷物を抱えているうえに、さらに持てというのは流石に酷だ。

「兄さん、これはどこに置けばいい?」
「あぁ、それは向う・・、生ものはすぐ冷蔵庫入れてくれ。」

普段は教える側であるはずの雪男が、ここでは燐に言われるがまま。すっかり立場が逆転してしまって、くすぐったいような・・、妙な気分になる。まぁ、家事に関してはまるっきり素人なのだから仕方ない。食材を冷蔵庫に詰め込み、雪男は燐を仰ぎ見た。

「よっし、とびっきり上手いケーキ作ってやるからな。」
そう言って無邪気に笑った燐の表情が、昔の記憶と重なった。


去年までは、修道院の皆がケーキやら料理やらを分担して作ってくれていたが、今年は兄弟二人だけの誕生日となってしまった。しかし、『寂しい』という感情は湧いてくることもなく、むしろ。むず痒く感じるのだ。こうして肩を並べて厨房に立って料理をすることが。自然と相手の存在を意識してしまう。

「兄さん。」
「んー?」
「・・・呼んだだけだよ。」
わざと耳元で囁いてやる。燐はあからさまにびくついてみせた。
「・・・お前・・、なんかやだ、気触悪ぃ・・。」

くすくすと声を出して笑うと、燐は頬を赤らめて顔をそらした。ようやく察したらしい。じりじりと横へとずれて、雪男との間に距離を取る。

「酷いな。こっち向いてよ、兄さん。」
「っ、く、くんな眼鏡!ホクロ!」

そう言い捨てて、燐は冷蔵庫のある奥の方へと行ってしまった。あんなに恥ずかしがって、今更じゃないか。確かに、ここ最近のスキンシップは激しいと思う。自分でも自覚している。しかし、そもそも原因を作っているのは毎度燐の方だったりするわけで。日を追うごとに理性を保てなくなっている自分に呆れつつも、自然と頬が緩んでしまう。トッピングに使う苺へと手を伸ばし、黙々とヘタを取っていると、ようやく燐が戻ってきた。伏せ目がちにこっちを睨んでくる。可愛いなぁと思ってしまう時点で、もはや重症なのだろう。おまけに頬を赤らめたまま、ぷいっとそっぽを向かれる。なんだちくしょう、可愛いじゃねぇか。心の中でめらめらと兄に対する劣情が燃え上がっていく。

「ねぇ、なんで避けるの?」
「べ、別に避けてねぇよ。」
「でも、避けてるよね?」
「・・・・、お前、なんか眼付やらしー・・、から。」
「・・・。」
「な、なんだよその目!馬鹿!」

・・・危ない。一瞬理性の糸が引き千切れそうだった。完全に機嫌を損ねてしまった燐は、隣のスペースでがちゃがちゃと何かを泡立てている。ちらりと視線を移せば、銀のボールに注がれているのは真っ白な生クリーム。自分とは違い、随分と慣れた手つきだ。

「兄さんて、ほんと料理上手いよね。勉強は出来ないけど。」
「うっせ、お前はいつも一言多いんだよ。」
「もう、いい加減こっち向いて喋ってよ。」

帰宅してからろくに顔を合わせてくれない。雪男はついに痺れを切らし、揺れる尻尾をわし掴んだ。

「ひ、ぁん!?」

急所であることは重々承知していたし、そんなに力は入れてないはずだった。だが、燐の口からはとんでもない声が零れ、力の抜けた腰は床へとへたり込む。おまけに生クリームの入ったボールを取り零してしまう始末。それが丁度腹部の下辺りにべったりと流れ落ちてしまったものだから・・、互いに言葉を失ってしまう。自分が出してしまったあられもない声。恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にさせる燐に対し、雪男はただ無言だった。しかし、内心では暴風が吹き荒れるほどに動揺していた。今目の前に座りこむ兄は、口を押さえ顔を赤らめ下腹部を白で汚している。因みに、今日の兄の服装は黒のパーカーに色褪せたジーンズ。その姿は、腰にドストライクに響くわけで。まぁ、つまり。なんというか、起ってしまったわけだ。


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