■奥村誕のお祝いコメント!
エロ予定でしたが挫折しました…お誕生日おめでとう二人!!
『アフタースクールinルーム』
「兄さん、」
「雪男っ、」
「「誕生日おめでとう」」
旧男子寮。
602号室。
そこで燐と雪男は朝一番で言葉を交わした。
12月27日、今日は彼ら双子の誕生日なのだ。
「雪男くんっ!今日お誕生日なんでしょ?おめでとう!!」
キャーキャーとうるさい女子生徒で出来た円の中心で、雪男は爽やかな笑みを浮かべている。
「ありがとうございます」
それだけでまわりは更に黄色い声援を送るが、燐はそんな雪男の様子を見て嬉しそうに笑った。
「ゆきおっ!」
弟を囲んでいる女を掻き分けて、隣へ陣取る。
女子の声は低いものに変わり、雪男には聞こえぬように燐を罵倒する。…もちろん聞こえてしまっているが。
「あ、兄さん。ちょうどよかった、行こうか」
それでは、と雪男はまた愛想のある笑顔を浮かべ、雪男が通るためにあけられた道を燐を引いて歩いていく。
「行っちゃったぁ…」
背中で女子らの悔しがる台詞を聞きながら、二人は振り返ることなく少し早いが祓魔塾へと足を進めた。
「…ねぇ兄さん、さっきから何ニヤニヤしてるのさ」
部屋に入ってからと言うもの、燐は機嫌よく尻尾を振りながら鼻唄を歌っていた。
そんな兄を訝しげに思い、問いかけたのだ。
「んー?」
くるっとこちらを向いて満面の笑みを見せる燐。
ドキン、と胸が高鳴った。
「機嫌良いみたいだけど」
言いながら雪男は考える。
自分は兄を上機嫌にさせるようなことをしただろうか。
答えは否だ。
女子に囲まれて持て囃されていただけで、嫉妬ならわかるが機嫌がよくなるようなことではない。
「だってさ…」
燐は俯きながら、上目遣いで雪男を見つめた。
窓際にいた雪男に一歩一歩近づいていく。
トン、と窓枠に手を置き、雪男を囲い込むようにすると顔を最大限近づけて、言った。
「お前、俺が一番じゃん」
嬉しそうな笑顔と共に告げられた台詞に、雪男もまた笑った。
「そうだけど、どうして?」
「さっき、女たちにおめでとうって言われてただろ?お前メッチャダルそうな顔してたもん。朝俺が言ったときは、すっげぇ嬉しそうだった」
「…、よく見てるね。確かに、兄さんが一番だ」
あんな子達に祝われても全然嬉しくない、と笑って燐の頬をつつく雪男。
「当たり前だろっ」
燐も雪男の頬を左右に引っ張って対抗しながら、少し赤みを差した顔で言った。
「プレゼント」
「ん?」
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